英国ホスピスコラム


イギリスの病院でマクミラン緩和ケア専門看護師
(Macmillan Palliative Care Clinical Nurse Specialist)として働くナースのブログ

2007年10月

Fireworks and Bonfire Party

先週末、私の勤務するホスピスではFireworks and Bonfire Partyがあった。
ハロウィーンとガイフォークスデイにちなんだイベントで、一般の人向けでホスピスの庭で、毎年行われるビックイベント。
(ガイフォークスデイについて知りたい人はこちらをどうぞ→ガイフォークス

その日は朝からボランティアやファンドレイザーと呼ばれるホスピスの資金調達・寄付などの管理係たちが庭でイベント準備を開始。
いくつものテントが張られ、にぎやかになってきた。

病棟は建物の2階になるので花火を見るにはいい位置。
患者さんたちにも7時ごろから花火があるから、みんなで見ようと言ってあったので、みんなで楽しみにしていた。

午後5時にゲートが空き、どんどん人がやってきた。
ホスピスの広い庭はあっという間に、人、人、人・・・。
そしてハロウィーンの仮装している子供たちもちらほら。

外を見ていたら魔女に扮しているおばあちゃんたちを発見!
あまりに可愛らしくって写真を撮りたかったけど、デジカメ持ってなかった・・・。

テントではいろいろお店が出ているようで、豚の丸焼きもあったという話。

3・4メートルはありそうな大きなボンファイヤー(キャンプファイヤー)もあって辺りを明るく照らしている。
実はこのボンファイヤーで燃えているのは、ホスピスのセールのために寄付されたけど売れ残ったり売り物にならなかった家具たち。再利用・・・?!

病棟では患者さんの夕ご飯が済み次第、患者さんの大移動を開始。
ベットの患者さんもいれば、車椅子の患者さんもいる。
庭側の部屋へほとんどの患者さんを移動させた。

個室の患者さんも快くほかの患者さんを受け入れてくれた。

ある部屋では女性患者さんのお部屋へお向かいの部屋の男性患者さんがお邪魔した。花火を待っている間、おしゃべりしていた二人はなんと家が近所であったことに気づいたそうだ。

ボンファイヤーの火が小さくなり、いよいよ花火開始。

スタッフみんな患者さんと一緒に花火を見ていた。

毎年この花火を見ているが、日本の花火大会に比べたらしょぼいけれど、イギリスの花火にしては結構イケている。

ふと気になって「イギリス人って花火が上がったらなんか言う?」
と患者さんたちに聞いてみたら「う~ん・・・。ウィッヒ~♪とか??」だって。

「日本は「たまや~」とか言うんだよ」と教えたら、みんなで合唱してました・・・。
「TAMAYA~!」って(笑)

花火が終わると、それぞれ患者さんたちはお部屋に戻っていった。
みんなとっても楽しかった!と嬉しそうで本当によかった。

また、今まで面識が無かった患者さん同士、知り合いになったようす。
今日の午後ある患者さんから、ほかの患者さんにお菓子を届けて欲しいといわれたので、配達してきた。
そして、お菓子を受け取った患者さんはお礼のお手紙を書いていた。
患者さん同志が集まれるラウンジが病棟に無いので、部屋が違うと交流する機会が少ない。
花火鑑賞は患者さん同士の交流のいい機会にもなったみたい。

残念ながら、このFireworks and Bonfire Partyのときに亡くなりそうな患者さんもいた。
外で大騒ぎで気を悪くされないだろうかとちょっと心配していたが、ご家族も花火を楽しんでくれたようだった。


こうしたイベントはチャリティイベントなので、集まる資金はホスピスの運営費になる。
沢山のボランティアがイベントを支え、沢山の人々が寄付をしてくれる。
次の日の朝、ボランティアらしき人々がごみを集めている姿を見かけた。
ホスピスはみんなのサポートによって支えられていると改めて思う。



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Free film offer for nurses and midwives

NMC(Nursing and Midwifery Council)のWebsiteでこんなオファーを発見。

Free film offer for nurses and midwives

Michael Mooreの最新作SiCKOです。

25日にはいけれないけど、面白そうなのでそのうち見に行こうと思ってます。



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ホスピスに勤務して4年

今月でホスピスに勤務して4年が経った。
正直、もう4年も経った?!というようなあっという間の4年という感じ。

私は日本で呼吸器内科に勤め、4年で辞めている。
いい上司にも出会えた。
同期で勤めたみんなもいい人ばかりで、みんなでがんばっていた。
辞めてから7年以上たつが、この前帰国したときも元上司や同期、先輩に会えて、いろいろお話した。
わりといい職場だったと思う。

でもやっぱりとっても疲れていた。
時間通りに終わらない勤務、有休もとれない。
なにより、いつもばたばたと仕事していた。
ターミナルケアの患者さんたちに提供すべきケアができていないのでは、これでいいのかと疑問を持ちながらやっていた。
何のために仕事をしているのだろう・・・そんな疑問がどんどん膨れ上がって、私の人生はこれでいいのだろうかという思いになった。


同じ年数をホスピスで勤務してきたけれど、そんなふうに疲れ果てていない今の自分がいる。
多分、緩和ケアというやりたい分野がはっきりとして、人生の目標もはっきりとしているからかもしれない。
辞めようとか、そういう思いは一切無い。
それどころか、まだまだこれから、学ぶべきもの、経験すべきことは山ほどあるという気持ち。
それに今は心に余裕を持って仕事ができているからじゃないかな、と思う。

働かないイギリス人スタッフにイラつき、プロフェッショナルらしくない態度をとるイギリス人にむかつき、めちゃくちゃなイギリスの医療にもうんざりすることもある。

それを差し引いても、今の職場の人たちはいい人ばかり。お互いサポートしあえていると思う。

看護師をこの先も続けて行こうと思える環境にいま自分がいることにありがたく思う。




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緩和ケア検定

緩和ケア医のaruga先生のブログ「緩和ケア医の日々の所感」で紹介されていました






早速私もやってみました・・・








全問正解!合格!


認定証もらっちゃいました。





皆さんもお試しあれ。



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電球10月10日にこのブログからメールを下さったHNさま電球
教えていただいたEmailアドレス両方へメールを送りましたが、メールが配達されずに戻ってきてしまいます。
palliativecareinuk@hotmail.com のほうへメールしていただけませんか?

人に優しく、自分にも優しく

私の友人の多くが看護師だ。
日本に滞在中に現役看護師さん、元看護師さんと話しているうちに、特に緩和ケア病棟で働く看護師さんと話す機会もありいろいろ思うところがあった。

常々、私は日本の看護師さんたちは働きすぎだと思う。
定時前に出勤している人はどのくらいいるのだろう?
定時に帰れる人はどのくらいいるのだろう?
残業した分、きちんと給料がもらえる人はどのくらいいるのだろう?
有給がすべて消化できる人はどのくらいいるのだろう?
1・2週間まとめての休暇が取れる人はどのくらいいるのだろう?

看護師の仕事は3K「きつい、きたない、危険」なんていわれてしまうこともあるように、忙しく、大変な仕事なのかもしれない。
それを知っている人でも看護師を志す人はたくさんいる。

現場で働いている看護師さんたちは忙しい日々の業務に終われている。
患者さんのためにこうしたい、ああしたいと思っている看護師さんたちも多いはず。

それなのに、できない。時間の余裕なく、過ぎてしまう。

私自身も日本で4年働いたが、何のために仕事をしているのかわからなくなっていた。
仕事のやりがいは、患者さんにどんなケアができたというものではなく、日々の業務をこなすことで、あくまで仕事を終わらせているだけのものになっていた。

私の友人の中で看護師を続けているのはわずか。
みんな結婚や子供ができたのを機に退職している。
それ以外にも業務に疲れて退職した子もいる。

看護は24時間継続的なもの。
一人の看護師が付きっ切りでできるわけはない。
受け持ち看護というものを否定しているわけではないけど、私はチームナーシングというのを大切にしたい。
チーム内でのコミュニュケーションをしっかりとり、患者さんに対して一貫したケアをしていく。

患者さん側にしてみれば、看護師が入れ替わり立ち代りで落ち着かないかもしれない。でも、1人の看護師が24時間そばにいることは不可能だってことを患者さんだってわかっているはず。
チームとして一貫した看護が提供できればいいのではと思う。

日本で看護師をしている方々には自分のことを大切にしてほしい。
人に優しくなるには、自分にも優しくならなくてはできないと思うから。


仕事が時間内に終わらないのはあなたのせいではない。
患者さんのケアは継続的なもの。区切りを見つけるのは難しい。
同僚の看護師さんたちと協力してやっていくものだから。
時間になったら家に帰れる環境になってほしい。

家に帰ったら仕事のことは忘れて自分の時間を大切にしてほしい。
お休みの日は自分のプライベートの時間を満喫してほしい。

リフレッシュして新たな仕事への意欲を持てるように1・2週間のまとまった有給が取れる環境になってほしい。

高い志を持ちがんばってきた看護師さんが疲れ果ててやめていくのを見るのが私にはとてもつらいから。



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