以前のブログ記事にてみなさんにお知らせしたドキュメンタリー番組「How to have a good death」がBBC2で昨日放送された。
2005年7月に行われた調査を踏まえ、数人の患者の様子を追いながら、緩和ケアコンサルタント(専門医)、病院の緩和ケアチームの様子がとりあげられていた。
興味深かったのはCOPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)の患者さんのケース。彼は自宅療養しているが、呼吸困難があり、奥さんの介助無しには生活できない。しかし、十分なサポートが得られていないという。
”癌”と診断されていれば、財政的にも、精神的にももっとサポート(たとえば、マクミランナースのサポートなど)が得られるのだが、彼のような慢性疾患ではそのようなサポートが十分に得られないと。
番組ではこの現状(癌という病気になるか、このような慢性疾患になるか)を「Lottery(運、くじ引き)」と表現していた。
慢性疾患であっても余命に限りがある場合は緩和ケアの対象になるので、ホスピスにもCOPDの患者さんや心不全などの慢性疾患の末期の患者さんが来ることがある。
しかし、これらの慢性疾患の患者さんが状態が悪いが末期とははっきりといえない場合(このあたりの線引きは難しいのだが)サポートが十分に得られていない現状にはショックを受けた。
またこの患者さんは今後状態が悪化した場合の蘇生を拒否する意向を明らかにしていた。
しかし、その手続きをどのようにしたらよいかで悩んでいたようだったが、病院の緩和ケアチームがサポートをしていた。
そのほかにも、癌の患者さんで病院から退院し、家で亡くなるまでの様子を取材されていた。
末期の癌でありながら、自宅へ帰りたいという強い思いを持っていた。自宅へついたときの彼の笑顔がとっても印象的だった。
「あなたにとってGood deathとはなにか?」という質問にもちゃんと答えていた。
もちろん、この患者さんは自分がもうすぐ死ぬだろうということは知っていた。時折涙を見せながら話す場面もあったがしっかりとして口調で答えていた。
この患者さんからは”自分がどのように死を迎えるのか” ”どのように最期を生きるのか”というメッセージを受け取ったきがした。
緩和ケアコンサルタントの話の中で「悪いニュースをどう伝えるか」という質問に
「悪いニュースは悪いニュース。どうがんばってもいいニュースには変えられない」という言葉が印象的だった。要はその悪いニュースをどう伝え、サポートしていくかなのだと。
ホスピスで仕事中、家族がそばにいないときに患者さんが亡くなってしまうケースがある。私は夜勤スタッフで、家族とはあったこともなく、電話ですら話したこともないのに、患者さんの死亡を電話で伝えなければならないことがある。
そういう電話をするのが、とても苦しい。
そのコンサルタントの言うとおり、患者さんが亡くなってしまったという事実は変えられない。
どう伝え、サポートしていくのが私の役目になるのだ、と思った。
ほんの少しでしたが、病院に入院してきた癌の末期患者さんのケースをもとにThe Liverpool Care Pathway for the dying patient(LCP)も紹介されていた。
NHSのプログラムの一環であるCancer Service Collaborative Improvement Partnership (CSCIP)と Marie Curie Cancer Careのサポートにより、ホスピスで行われるケアをほかの施設で提供する場合のケアの質・向上を目的に作られたケアモデルのプロジェクト。
ランダムに選ばれた16歳以上の1027人を対象に行われた調査で66%あまりの人がどのように死を迎えたいか話し合ったことがないと答えていた。
やはり”死”というものはタブー視されてしまうものなのだろうか・・・。
(BBCによるこの調査結果の要約はこちらのWebsite。
またこの調査の全結果はこちらのWebsiteを参考に。)
この番組が多くの人に”自分はどんな死を迎えたいのか”と考える、また”自分の愛する人はどうなのか”と話し合うきっかけになったらいいなと思った。
以上、私の意見も交えての番組の紹介でした
番組を見た人・見なかった人も意見・感想ありましたらぜひコメント欄へお願いします
番組を見逃してしまった人、またもっと詳しく知りたい人はこちらのBBCのWebsiteを見てみてください
愛する人が亡くなるとき・亡くなったときのためのPractical Checklistなんてのもあってイギリスでの死亡時に必要な手続きなどが分かりやすくまとめられています。
2005年7月に行われた調査を踏まえ、数人の患者の様子を追いながら、緩和ケアコンサルタント(専門医)、病院の緩和ケアチームの様子がとりあげられていた。
興味深かったのはCOPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)の患者さんのケース。彼は自宅療養しているが、呼吸困難があり、奥さんの介助無しには生活できない。しかし、十分なサポートが得られていないという。
”癌”と診断されていれば、財政的にも、精神的にももっとサポート(たとえば、マクミランナースのサポートなど)が得られるのだが、彼のような慢性疾患ではそのようなサポートが十分に得られないと。
番組ではこの現状(癌という病気になるか、このような慢性疾患になるか)を「Lottery(運、くじ引き)」と表現していた。
慢性疾患であっても余命に限りがある場合は緩和ケアの対象になるので、ホスピスにもCOPDの患者さんや心不全などの慢性疾患の末期の患者さんが来ることがある。
しかし、これらの慢性疾患の患者さんが状態が悪いが末期とははっきりといえない場合(このあたりの線引きは難しいのだが)サポートが十分に得られていない現状にはショックを受けた。
またこの患者さんは今後状態が悪化した場合の蘇生を拒否する意向を明らかにしていた。
しかし、その手続きをどのようにしたらよいかで悩んでいたようだったが、病院の緩和ケアチームがサポートをしていた。
そのほかにも、癌の患者さんで病院から退院し、家で亡くなるまでの様子を取材されていた。
末期の癌でありながら、自宅へ帰りたいという強い思いを持っていた。自宅へついたときの彼の笑顔がとっても印象的だった。
「あなたにとってGood deathとはなにか?」という質問にもちゃんと答えていた。
もちろん、この患者さんは自分がもうすぐ死ぬだろうということは知っていた。時折涙を見せながら話す場面もあったがしっかりとして口調で答えていた。
この患者さんからは”自分がどのように死を迎えるのか” ”どのように最期を生きるのか”というメッセージを受け取ったきがした。
緩和ケアコンサルタントの話の中で「悪いニュースをどう伝えるか」という質問に
「悪いニュースは悪いニュース。どうがんばってもいいニュースには変えられない」という言葉が印象的だった。要はその悪いニュースをどう伝え、サポートしていくかなのだと。
ホスピスで仕事中、家族がそばにいないときに患者さんが亡くなってしまうケースがある。私は夜勤スタッフで、家族とはあったこともなく、電話ですら話したこともないのに、患者さんの死亡を電話で伝えなければならないことがある。
そういう電話をするのが、とても苦しい。
そのコンサルタントの言うとおり、患者さんが亡くなってしまったという事実は変えられない。
どう伝え、サポートしていくのが私の役目になるのだ、と思った。
ほんの少しでしたが、病院に入院してきた癌の末期患者さんのケースをもとにThe Liverpool Care Pathway for the dying patient(LCP)も紹介されていた。
NHSのプログラムの一環であるCancer Service Collaborative Improvement Partnership (CSCIP)と Marie Curie Cancer Careのサポートにより、ホスピスで行われるケアをほかの施設で提供する場合のケアの質・向上を目的に作られたケアモデルのプロジェクト。
ランダムに選ばれた16歳以上の1027人を対象に行われた調査で66%あまりの人がどのように死を迎えたいか話し合ったことがないと答えていた。
やはり”死”というものはタブー視されてしまうものなのだろうか・・・。
(BBCによるこの調査結果の要約はこちらのWebsite。
またこの調査の全結果はこちらのWebsiteを参考に。)
この番組が多くの人に”自分はどんな死を迎えたいのか”と考える、また”自分の愛する人はどうなのか”と話し合うきっかけになったらいいなと思った。
以上、私の意見も交えての番組の紹介でした
番組を見た人・見なかった人も意見・感想ありましたらぜひコメント欄へお願いします
番組を見逃してしまった人、またもっと詳しく知りたい人はこちらのBBCのWebsiteを見てみてください
愛する人が亡くなるとき・亡くなったときのためのPractical Checklistなんてのもあってイギリスでの死亡時に必要な手続きなどが分かりやすくまとめられています。