前回のホスピスコラムに書いたFuneral Directorsの訪問に引き続き、私の訪問第二弾はとあるNHSの病院のAcute Haematology and Oncology ward。
白血病などの血液疾患と癌などの腫瘍の治療(化学療法、放射線療法、対症療法など)が行われている病棟へ行ってきた。またここでは緩和ケア目的の症状マネージメントも行われている。
私の働いているホスピスへこの病棟から緩和ケアが必要になった患者さんが結構転送されてくるので、いったいどんな所なんだろう??どんなケアが行われてるんだろう??と思い、訪問することにした。
私は日本で呼吸器内科で働いて、肺癌の患者さんをたくさん看護したので、イギリスとの違いも興味深かった。
Earlyのシフトが始まるのは7時。早起きが超苦手な私が朝5時半起き。(起きれた自分はスゴイと思った・笑)
病棟に着くと、日勤スタッフとともに夜勤スタッフから申し送りを受けた。
血液疾患の患者さんたちの病棟は完全個室で5部屋。そして腫瘍疾患の患者さんたちの病棟は”ナイチンゲール病棟”(Nightingale ward)スタイルと呼ばれる、縦長の大部屋にベットが16並んでいた。
サイドルームと呼ばれる小さな個室が1室だけあったが、長期にエイズの患者さんが入院していたので個室はふさがっていた。
もちろんベットとベットの間にはカーテンはあるが、いつも満床の状態で、音も筒抜け。プライバシーの確保に難しいだろう。
ほとんどが癌の診断を確定・治療方針を決定するための患者さん、そして癌の治療を受けている患者さん。
一人のスタッフナースについて、この病棟で行われているケア・治療がどのように緩和ケアにかかわってくるのか観察する予定だった。
実際には、私は他のスタッフといっしょになって働いていた・・・。
申し送り後、患者さんそれぞれをみてまわっている所で、目の前で患者さんが転倒した。カーテンを壁と勘違いしもたれかかった為に転倒してしまったというもので、激しく床に倒れてしまった。他のスタッフとともに患者さんの観察、医師に診察してもらうまで床に寝かしておくことになり、枕、ブランケットなどをあてがい安楽確保。すぐにやってきた医師により以上がないことを確認され、スタッフみんなでベットへ誘導。
そして朝食の配膳。いつもは係の人がいるらしいのだが、この日に限っていなかったので、他のスタッフナースとともに、朝食のオーダーをとり、配膳していった。
それが終わった頃、看護学生が患者さんのベットサイドでぼーぜんとしている。
どうしたのか聞くと、今日私の働くホスピスへ転送する患者さんの清拭を終えたのだが、その直後に患者さんが大量の下痢をしてしまったという。転送のための救急車到着まで後わずか。
その看護学生さんと一緒に急いで、清拭と着替えをしたのだが、”超”多量のためどこから手をつけて良いのかわからないくらい・・・。
この患者さんはホスピスへ転送されるのが不安だったらしく、ケアをする中で私がそのホスピスで働いていることやホスピスの様子を紹介することができたのでよかった。
その後も、他の患者さんの清拭、定期内服薬の投与、検温、化学療法中の患者の観察、抗生物質の静脈注射・・・スタッフナースは忙しく働いている。私も彼女を追っかけつつ、他のスタッフの手伝いもしつつ・・・。
日本で働いていた頃を思い出した。いつもこんなふうに次から次へと息をつくまもなく仕事があったっけ・・・。
癌の患者さんで痛みのコントロールがうまくいっていない人がいた。担当医師とも相談し、スタッフナースは病院内にある”緩和ケアチーム”(Palliative care team)へ電話連絡。まもなくして緩和ケアチームのメンバーであるClinical palliative care specialist nurse(緩和ケア専門看護師)がやってきた。日本のホスピスケア認定看護師のように緩和ケアの専門知識をもったスペシャリストナース。
彼女は患者さん、医師、看護師とその場で相談し、鎮痛薬の処方のアドバイスをしていた。(あくまで処方は医師が行う。)
また緩和ケアチームは定期的に病棟への訪問も行っており、その場で相談することもできる。そして医師を通さなくても問題が生じた場合に緩和ケアチームへ直接連絡をとり、アドバイスを受けることも可能。
私は日本で働いていた経験から一般病棟での緩和ケアの難しさを身にしみていた。緩和ケアに対するスタッフ間の考え方の違い、知識の不足・・・・。
しかし、この緩和ケアチームによる病棟への関わりはとても興味深かった。
そして、いっしょに働いていたスタッフナースに「一般病棟での緩和ケアに難しさを感じるか」聞いてみた。
彼女の答えは・・・
「業務が忙しく、ゆっくり座って話したりする時間は限られるので、精神的な苦痛を抱えている患者さ んなど接するのは難しいと感じることもある。しかし、なにか問題が生じた場合、いつでも緩和ケア チームの助けを借りることが出きる。だから不安はない。」
一般病院における緩和ケアの可能性。この緩和ケアチームのことをもっと知る必要がある・・・。
そう思った私は訪問第三弾をこの病院内にある”緩和ケアチーム”に決定!
さっそく緩和ケアチームに訪問依頼の電話を電話をした。
次回のブログにて、緩和ケアチームの報告します。
緩和ケアに関係はないのだが、初めてNHSホスピタルに潜入し驚いたのは外国人スタッフの多さ。話には聞いていたのだが、ここまでとは・・・・。
以前私が働いていたプライベート病院は外国人スタッフはいたもののイギリス人スタッフの方が圧倒的に多かったし、今働いているホスピスは都市から離れているという場所柄、外国人スタッフは数人でアジア系は私のみ。
英国は選挙を控え、イミグレーションに関してとやかくいわれたり、アダプテーショントレーニングをする外国人看護師がワークパーミット取得を却下されるなど、ワークパーミット取得の条件が厳しくなっている。しかし、NHS病院から外国人スタッフがいなくなったら確実にこの国の医療の崩壊は誰の目からみても明らか・・・。
アダプテーショントレーニングを控え、ビザ取得に奔走している日本人看護師のみなさん、がんばって!!
息抜き(現実逃避?)もこのくらいにして大学の提出課題にもどります。
締切りまであと5日。ホントにラストスパートです・・・。
白血病などの血液疾患と癌などの腫瘍の治療(化学療法、放射線療法、対症療法など)が行われている病棟へ行ってきた。またここでは緩和ケア目的の症状マネージメントも行われている。
私の働いているホスピスへこの病棟から緩和ケアが必要になった患者さんが結構転送されてくるので、いったいどんな所なんだろう??どんなケアが行われてるんだろう??と思い、訪問することにした。
私は日本で呼吸器内科で働いて、肺癌の患者さんをたくさん看護したので、イギリスとの違いも興味深かった。
Earlyのシフトが始まるのは7時。早起きが超苦手な私が朝5時半起き。(起きれた自分はスゴイと思った・笑)
病棟に着くと、日勤スタッフとともに夜勤スタッフから申し送りを受けた。
血液疾患の患者さんたちの病棟は完全個室で5部屋。そして腫瘍疾患の患者さんたちの病棟は”ナイチンゲール病棟”(Nightingale ward)スタイルと呼ばれる、縦長の大部屋にベットが16並んでいた。
サイドルームと呼ばれる小さな個室が1室だけあったが、長期にエイズの患者さんが入院していたので個室はふさがっていた。
もちろんベットとベットの間にはカーテンはあるが、いつも満床の状態で、音も筒抜け。プライバシーの確保に難しいだろう。
ほとんどが癌の診断を確定・治療方針を決定するための患者さん、そして癌の治療を受けている患者さん。
一人のスタッフナースについて、この病棟で行われているケア・治療がどのように緩和ケアにかかわってくるのか観察する予定だった。
実際には、私は他のスタッフといっしょになって働いていた・・・。
申し送り後、患者さんそれぞれをみてまわっている所で、目の前で患者さんが転倒した。カーテンを壁と勘違いしもたれかかった為に転倒してしまったというもので、激しく床に倒れてしまった。他のスタッフとともに患者さんの観察、医師に診察してもらうまで床に寝かしておくことになり、枕、ブランケットなどをあてがい安楽確保。すぐにやってきた医師により以上がないことを確認され、スタッフみんなでベットへ誘導。
そして朝食の配膳。いつもは係の人がいるらしいのだが、この日に限っていなかったので、他のスタッフナースとともに、朝食のオーダーをとり、配膳していった。
それが終わった頃、看護学生が患者さんのベットサイドでぼーぜんとしている。
どうしたのか聞くと、今日私の働くホスピスへ転送する患者さんの清拭を終えたのだが、その直後に患者さんが大量の下痢をしてしまったという。転送のための救急車到着まで後わずか。
その看護学生さんと一緒に急いで、清拭と着替えをしたのだが、”超”多量のためどこから手をつけて良いのかわからないくらい・・・。
この患者さんはホスピスへ転送されるのが不安だったらしく、ケアをする中で私がそのホスピスで働いていることやホスピスの様子を紹介することができたのでよかった。
その後も、他の患者さんの清拭、定期内服薬の投与、検温、化学療法中の患者の観察、抗生物質の静脈注射・・・スタッフナースは忙しく働いている。私も彼女を追っかけつつ、他のスタッフの手伝いもしつつ・・・。
日本で働いていた頃を思い出した。いつもこんなふうに次から次へと息をつくまもなく仕事があったっけ・・・。
癌の患者さんで痛みのコントロールがうまくいっていない人がいた。担当医師とも相談し、スタッフナースは病院内にある”緩和ケアチーム”(Palliative care team)へ電話連絡。まもなくして緩和ケアチームのメンバーであるClinical palliative care specialist nurse(緩和ケア専門看護師)がやってきた。日本のホスピスケア認定看護師のように緩和ケアの専門知識をもったスペシャリストナース。
彼女は患者さん、医師、看護師とその場で相談し、鎮痛薬の処方のアドバイスをしていた。(あくまで処方は医師が行う。)
また緩和ケアチームは定期的に病棟への訪問も行っており、その場で相談することもできる。そして医師を通さなくても問題が生じた場合に緩和ケアチームへ直接連絡をとり、アドバイスを受けることも可能。
私は日本で働いていた経験から一般病棟での緩和ケアの難しさを身にしみていた。緩和ケアに対するスタッフ間の考え方の違い、知識の不足・・・・。
しかし、この緩和ケアチームによる病棟への関わりはとても興味深かった。
そして、いっしょに働いていたスタッフナースに「一般病棟での緩和ケアに難しさを感じるか」聞いてみた。
彼女の答えは・・・
「業務が忙しく、ゆっくり座って話したりする時間は限られるので、精神的な苦痛を抱えている患者さ んなど接するのは難しいと感じることもある。しかし、なにか問題が生じた場合、いつでも緩和ケア チームの助けを借りることが出きる。だから不安はない。」
一般病院における緩和ケアの可能性。この緩和ケアチームのことをもっと知る必要がある・・・。
そう思った私は訪問第三弾をこの病院内にある”緩和ケアチーム”に決定!
さっそく緩和ケアチームに訪問依頼の電話を電話をした。
次回のブログにて、緩和ケアチームの報告します。
緩和ケアに関係はないのだが、初めてNHSホスピタルに潜入し驚いたのは外国人スタッフの多さ。話には聞いていたのだが、ここまでとは・・・・。
以前私が働いていたプライベート病院は外国人スタッフはいたもののイギリス人スタッフの方が圧倒的に多かったし、今働いているホスピスは都市から離れているという場所柄、外国人スタッフは数人でアジア系は私のみ。
英国は選挙を控え、イミグレーションに関してとやかくいわれたり、アダプテーショントレーニングをする外国人看護師がワークパーミット取得を却下されるなど、ワークパーミット取得の条件が厳しくなっている。しかし、NHS病院から外国人スタッフがいなくなったら確実にこの国の医療の崩壊は誰の目からみても明らか・・・。
アダプテーショントレーニングを控え、ビザ取得に奔走している日本人看護師のみなさん、がんばって!!
息抜き(現実逃避?)もこのくらいにして大学の提出課題にもどります。
締切りまであと5日。ホントにラストスパートです・・・。