英国ホスピスコラム


イギリスの病院でマクミラン緩和ケア専門看護師
(Macmillan Palliative Care Clinical Nurse Specialist)として働くナースのブログ

Nursing in UK

ノロウイルス大流行!

日本でも冬になると流行するノロウイルス。こちらイギリスでも現在ノロウイルスが猛威を振るっている。

ノロウイルスは英語で「norovirus」。winter vomiting diseaseとしてもしられている。

イギリス国内のNHS病院では70病棟以上がこのノロウイルスのために閉鎖され、緊急以外の手術をキャンセル。また病院への見舞い客を制限している。

ノロウイルスに感染すると、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの症状がでる。そして嘔吐や下痢により脱水症状を起こしやすい。
一般的にはstomach flu、stomach bugといわれることもある。


NHSのアドバスは・・・
・水分を十分にとること
・腹痛、発熱などにたいしてParacetamolを飲む
・家で安静にすること
・症状が落ち着いても48時間は学校・職場への復帰をひかえること
・手洗いをしっかりすること

そして
ある専門家がTVで言っていたのだが・・・

「小児や老人、症状が重症化した場合を除いてGP(かかりつけ医)の診療所やA&E(救急外来)にはいかないように

つまり、GPの診療所や病院での2次感染拡大を心配するあまり、下痢嘔吐だけだったら家でおとなしくしていろということらしい。

注)もちろん、GPやNHSDirectでは電話での対応をしているので患者さんを無視しているわけではないです。



BBC NEWS
Many wards closed by vomiting bug
Q&A: Norovirus


皆さんも気をつけてくださいね


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Free film offer for nurses and midwives

NMC(Nursing and Midwifery Council)のWebsiteでこんなオファーを発見。

Free film offer for nurses and midwives

Michael Mooreの最新作SiCKOです。

25日にはいけれないけど、面白そうなのでそのうち見に行こうと思ってます。



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Lady with secret weapon

(念のため・・・・。食事中の方はあとで読んでくださいね)


ジョン(仮名)はベットから自力で起き上がれない状態。そして疼痛と吐気・嘔吐のコントロールで入院してきた。

ジョンの身体の向きを変えるとき、肛門周辺を見てびっくり。
かなり、たまっているのが外からでもわかる・・・。

聞いてみたら4日以上便通が無いという。
便秘に吐き気、これはナントカしなければ。

「浣腸したほうがいいね、今からしましょうか?」というとかなりうろたえるジョン。
「明日でもいいかな、今日は疲れたし、もしかしたら今晩あたり排便あるかもしれないし・・・」というのででは明日ね、と約束した。


翌日、夜勤スタッフからの申し送りで
「ジョンは浣腸のことで頭がいっぱいみたい。Hiはいつくるのか何度も聞いてきたよ」といわれた。

なぜだかイギリス人、座薬や浣腸が嫌いな人が多い。
日本で働いていたとき、疼痛コントロールにボルタレン座薬やアンペック座薬などよく使った。
でも、イギリスでは座薬はめったに使わない。
みんな嫌がる。

ベルギー出身の緩和ケア専門医は座薬を拒否する患者さんに
「イギリス人は何で座薬を嫌がるのよ!ベルギーでは当たり前のように使うわよ。効果あるのよ。日本だって座薬使うってHiも言ってたわよ」
と、私もかってに巻き込んで患者さんを説得したりするが、たいてい拒否される。


便秘の患者さんに
「あとでlittle bomb(冗談で私はよく浣腸のことをこう呼ぶ)もってくるよ」というと、私のlittle bombを恐れて、がんばって自力で排便する患者さんが結構いる。

日本で当たり前のように行われていた摘便はイギリスでは禁忌に近い。下手したら虐待扱いされてしまうかも。


さて、いよいよジョンに浣腸をすることになった。
「ついにきたか・・・」
気は進まないが、便秘による苦痛も増してきているし、吐気も収まらないので同意してくれた。

そして、浣腸は効果てきめん。
かなりの量の排便が何度かあった。
(あるスタッフは「よくもあれだけ腹にためておけたものだ」といっていたくらい・・・)

その後、ジョンは吐気・嘔吐はかなり収まり、夜にはポークパイやスモークサーモンをパクパク食べていた。

それ以来ジョンが私のことを冗談で「Lady with secret weapon」と呼んでいる。

秘密兵器を持つ女、Hi?!


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英国式人件費削減法?!

私の職場はチャリティが運営するホスピス。
運営に関する資金の半分以上がチャリティによってまかなわれている。
全国にホスピスも5箇所あるある程度大きな運営団体。

しかし・・・。
人件費削減のためになんと、過去数ヶ月看護スタッフの新規採用をストップさせていた。

極端に言えば、何人辞めようがスタッフの補充はなし!!

(日勤)
・看護師:フルタイム 週5日勤務 1人
・看護師:パートタイム 週2日勤務 4人
・看護助手:パートタイム 週3日勤務 2人

・看護師:フルタイムからパートタイム(週4日勤務)へ1人
・看護助手:週3日勤務 から夜勤へ変更 1人

(夜勤)
・看護助手:勤務日数を減らしたスタッフ 3人

これだけの人が辞めたり、時間数を減らしたにもかかわらず・・・
補充は日勤に看護助手フルタイムたった1人

患者のベット数は変わらず。以前にもまして満床に近い状態を保っているのでかなり忙しい。
そして、夏はホリデーシーズン。みんなが有休をとる。
「人手不足だから有休は取りやめ」なんて考えは一切無い。有休は有休、みなしっかりとる。
そしてフルタイムの看護師が1人、長期病欠。

そのために臨時職員(Bank Staff)や派遣スタッフ(エージェンシースタッフ)を使わざるを得ず、派遣スタッフは結構高いので、結局人件費は抑えられていない

こんなんで人件費が削減できているはずが無い!!

ケアの質は急降下・・・。

スタッフのストレスは急上昇・・・。



ちなみに、私は1ヶ月ほど前からロングデイ勤務に変えた。午前7時45分から午後9時半までの勤務を週に3日することにした。(途中休憩1時間15分取れる)
先々週の月曜日、勤務表をみてビックリ。
なんと日勤帯、一日中、看護師は私一人。そして看護助手たちが朝3人と午後2人。
(普段は朝は最低でも看護師は2人いるし、午後から出勤の看護師もいるのでお互い休憩が取れるように配慮されている)
月曜日はいつも忙しいし、入院1件、輸血も3件あったのでいくらなんでも無茶。
常に病棟に看護師がいなければいけないので、私は休憩にすらいけない。
もちろん、マネージャーに抗議。
「じゃ、看護師のBank Staffを4時に来るようにするから」
といわれた。

「では私は4時まで休憩にもいけません!」と再度抗議。

「じゃあ、あなたがお昼ご飯食べに行く間私が病棟に行くわ」といわれたので、マネージャーにどんだけ病棟が忙しいか身を持って体験してもらおう!と思い、それで同意。

しかし、とっても優しい同僚のイギリス人看護師D。なんと、有休を取りやめて出勤してきてくれたのだ。
「Hiが大変になることわかっててほっておけないわ」
と、スコーンまで焼いて持ってきてくれた。
ほかのスタッフもドクターたちもみんなが私が疲れすぎていないか、気にかけてくれて助かった。
忙しいけど、スタッフのみんなはいい人ばかりなのよね。

現在やっと、ホスピスはスタッフの新規採用の広告をだした。
早く新しい人がこないかなー。

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旧日本軍捕虜の患者さんとの出会い

ここ2日天気はいいものの、まだ少々肌寒いイギリス。もう8月というのが信じられない。。。

8月といえば、私の頭に浮かぶのは広島長崎への原爆投下、戦争。そして平和についての思いを深めようと改めて思う。


数ヶ月前の話になるけど、病欠カバーで夜勤をした。普段働いている病棟では無いほうの病棟での勤務だった。
その病棟の患者さんとはほとんど面識はなく、申し送りを受けて、22時の投薬のために患者さんを回りながら簡単に自己紹介をして言った。

ある患者さん、ジョン(仮名)のもとへ22時の投薬とともに、挨拶をした。
「Hiです、いつもは隣の病棟で日勤で働いてますけど今日は病欠カバーでこっちの病棟で夜勤です。よろしく・・・」
といい終わらないうちにジョンが驚いているのがわかった。

そして「君は日本人?」と聞かれたので
「そうです、よくわかりましたね」と笑顔で答えると、ジョンは困ったような、でも笑顔のような・・・表現しづらい複雑な表情をした。

そんなジョンのリアクションに、どう答えてよいのかわからず、ちょっと沈黙してしまった。
すると、ジョンがゆっくりと口を開き、実は戦時中彼が旧日本軍の捕虜だったということを教えてくれた。

内心、私はかなり動揺してしまった。

第二次世界大戦中、日本軍が東南アジアへ侵攻した際にそこにいたイギリス軍を撃破し、そして多くのイギリス兵を捕虜にした。その後、過酷な強制労働などを強い、捕虜はひどい扱いを受けたと聞く・・・。

いまだに元日本軍の捕虜であったイギリス人の中には日本に対する憎悪をもっており、何年も前に日本の天皇陛下がイギリスを訪れたとき、日の丸を焼き、背を向けるなどの抗議行動をおこなっているし、日本人だというだけで嫌な思いをしたという在英の知り合いもいる。

(なんで日勤スタッフは申し送りのときに何で教えてくれなかったのか)とすこし恨んだ・・・。
ジョンだって日本人のナースに受け持ってもらいたく無いだろうに。。。と思った。
つらい過去の記憶を呼び起こすようなこともしたく無いのに。

「こんなところで日本人に会うとはびっくりしたよ。」と穏やかにジョンは話し始めた。なぜ私がイギリスにいるのか、なぜホスピスで働いているのか・・・いろいろ聞かれた。

まだほかの患者さんの投薬が終わっていなかったので、ジョンに
「申し訳ないですけど、ちょっとほかの患者さんのところへ行かなくてはいけなくて・・・。後でゆっくりお話しませんか?」
というとにっこり笑って、了解してくれた。


11時半過ぎ、患者さんたちが寝静まった頃、ジョンのところに行った。
ジョンはおきて私を待っていてくれた。

ジョンは捕虜だった頃の話を聞かせてくれた。
日本語を強制的に教えられ、話すことを強いられたこと。何十年もたった今でもすこし、そのとき覚えた日本語を覚えていた。
満足に食事を与えられず、ガリガリにやせてしまったこと。
死を覚悟したこと。
イギリスに戻ったとき、ジョンの奥さんと抱き合って泣いたこと。
何年か後に近所に日本人が引っ越してきたとき、いい思いがしなかったこと。でも、その日本人夫婦と話すうち、心を開くことができたこと。


「人生の中でこんなにガリガリにやせたのは、癌である今とあのときくらいだね」と苦笑いしていた。

そして、今日本でどのような教育がされているのかも聞かれた。
歴史についてはすべての学校で教育していること、また日本の憲法で日本は2度と戦争に介入しないことを説明した。

私の意見も聞かれた。

私自身、あの時代、日本だけでなく世界中がおかしかったと思う。
世界中が戦争という悪魔・狂気に取り付かれてしまっていたように思う。
もう何十年も前のこと、歴史は変えられない。
だけど、これから先、同じことを繰り返さないようにすることはできる。
沢山の人が苦しんだ戦争は2度と起してはいけない。
戦争では何も解決しない、憎しみが生まれるだけ・・・。

ジョンはうなずきながら私の話を聞いてくれた。

「そうだね。自分もそう思うよ。過去はもう変わらないし、僕は戦争は憎いけど、日本人が憎いわけじゃない。君と話せてよかった。」といってくれた。

気づいたらすでに12時半を過ぎていて、私がなかなか戻ってこないのを心配したほかのスタッフが様子を見に来た。ジョンも私もそんな時間なのかとちょっとビックリした。
そしてジョンにおやすみといってナースのオフィスに戻った。


終戦から何十年もたち、戦争について忘れ去られ、遠い過去のもののようになってしまってきているかもしれない。
たしかに戦争を起したのは私達の世代ではない。だから忘れて言い訳ではない。
あのように多くの人が苦しみ、亡くなった出来事はけして忘れてはならない事。
そして2度と起してはならないこと。

終戦記念日を迎えるこの8月、多くの人が平和について関心を高めてくれますように。



2年前の記事になりますが、「平和について思うこと」もよかったらどうぞ。


追記:8月6日
貴重な体験やお話のコメントをいただきました
本文だけでなく、ぜひみなさんからのコメントのほうも読んでみて下さい。
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