英国ホスピスコラム


イギリスの病院でマクミラン緩和ケア専門看護師
(Macmillan Palliative Care Clinical Nurse Specialist)として働くナースのブログ

Palliative care(Japan)

がん治療と仕事

最近、気になるニュースがあったので…

がん患者に院内オフィス、「治療で離職」歯止め (読売新聞)
院内にサテライトオフィスを設置しがん治療と仕事を両立させて、離職を防ぎ、スムーズな職場復帰が狙いらしい。

私はイギリスに来て、5箇所の職場(ホスピス、病院、訪問看護)を経験しているが、がんと診断され長期病欠(6ヶ月以上〜1年)しがん治療をして、職場に復帰したスタッフに何人かであった。誰もが、復帰した時に以前と同じポジションに戻っている(仕事時間を減らした人はいたが)。
また、復帰することなくなくなってしまった方もいたけれど…。

院内オフィスはがん治療を受けている患者さんたちに、治療中でも仕事をしなければならないプレッシャーになるのでは、無理をさせてしまうのではと思う。
がん治療は精神的にも身体的にも辛いものです。
治療しながら仕事をするサポートというよりも、長期病欠しても以前と同じポジションで働けるような補償を義務付けるなど、治療に専念できるような環境にしてほしいものです…。

Canada de NurseのMissyさん セミナー開催のお知らせ

このブログへリンクをさせていただいています、カナダのホスピスで働くMissyさんが日本でセミナーを開催されます!
以下、Missyさんのブログより抜粋です。
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12月、日本でセミナーを行います。ブログ左上の小さなお知らせや、HPサイトでもちょっぴり宣伝をしていたので、すでに連絡を下さった方ありがとうございました。ようやくセミナーの受付が開始されました。各会場とも定員50人なので、ご希望の方はお早く申し込んでください。

今回の焦点は一般病棟勤務の方にしてみました。ホスピス緩和ケアはホスピス緩和病棟だけのものではありません。一般病棟でもできることはたくさんあります。そのために基本に焦点をあてたセミナーの構成にしました。だからこの分野に興味をもっておられる方、病院に緩和ケアチームがなく、一般看護師が疼痛緩和や症状緩和をリードしなければならないような状況をお持ちの方、是非申し込んでみてください。

第二の焦点はチームアプローチです。これはホスピス緩和ケアに欠かせない要素です。どうやってチームとケアを働きかけていくか、どうやってチームを活性化させていくか。緩和ケアチームの有無に関係なく病棟、病院はチーム体制です。その中で看護師として何ができるのかに力を入れて行きたいと思っています。一般病棟ではなく、在宅、長期療養型、またはすでにホスピス緩和ケア病棟で働いていらっしゃる方も大歓迎です。楽しい、実践型の一日にしましょう。

私は受講型より参加型の方が実践につながると信じています。だから当日は椅子に座ってばかりいずにいろんな形で一日を進めて行こうと思っています。すでに経験がある方は持っている知識をリフレッシュさせ、初めての方は新しい知識を仕事場へ持って変えれるように勤めたいと思っています。

それから、おまけ!この申し込みページを通して過去のがん患者ケアの私の原稿が読めます。昨年発売のこの4誌はすでに完売されているので、読み逃した方ここで閲覧できますよ。
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興味のある方はぜひどうぞ♪

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お知らせ: 改訂版 ケアとしての死化粧

おしらせです。

小林光恵先生編著の「改訂版 ケアとしての死化粧」(日本看護協会出版会、2007年5月発行)でエンゼルメイクQ&A海外事情のなかでイギリスの様子について紹介していただきました。
(イギリスの事情の部分の原稿はナーシング・トゥデイ」3月号にも掲載されたものです)

本でも触れていますが、イギリスではエンゼルメイクはナースが行うことはありません。
でも、エンゼルメイクは日本では看護のケアとして重要な部分を占めているのではないでしょうか

この本ではエンゼルメイクについての研究や実践に役立つことが詳しく書かれています。
患者さんを看取る機会の多いナースや医療関係者の方々の参考になると思います。

ホスピス空きベッド待ち、1326人死亡

ホスピス空きベッド待ち、1326人死亡…読売調査
(読売新聞 YOMIURI ONLINEより)

読売新聞が全国のホスピス・緩和ケア施設、153施設を対象にした調査を行った結果(2005年4月~06年3月)、ホスピスの空ベット待ちの間に1326人が死亡したとのこと。

またベットがあくのを待っている待機患者数は少なくとも全国で736人、待機患者数の最多施設では50人、一施設あたりの平均待機患者数は7.6人。

これだけ多くの患者さんがホスピス・緩和ケア病棟への入院を望みながら、その前に亡くなってしまったというのはとても残念。
(しかし、緩和ケアは一般病棟でも行われているところもあるし、ホスピスや緩和ケア病棟の中でなければ受けられないというわけではないので、空きベット待ちの間に適切なケアが受けられていたと願いたい・・・。)

この記事中の山崎章郎医師のコメントにもあったが、ケアの充実を図ること、地域で連携することは大切であると思う。


私の働いているホスピスはベット数20の独立型ホスピスだが、満床になるのは稀。
そしてホスピスへの入院依頼は患者のかかりつけ医であるGP,訪問看護師(District nurse)、癌専門看護師(Macmillan nurse)、病院の緩和ケアチームなどからあり、依頼のフォームを受け取り、毎週ミーティングが開かれ患者さんの状態により入院予約を入れていく。
依頼があった時点で患者さんの状態が悪いときには、即入院になる。
(参考までに過去記事ホスピスへのReferral

またここのホスピスから車で約1時間以内の場所にほかにも3箇所ホスピス・緩和ケア施設がある。そのため、これらとも連携をしており、入院が必要な患者さんがいるが、空きベットがないというときには、近辺のホスピスへ入院となる。


日本ではホスピスの数は年々増加しており、全国の緩和ケア病棟承認施設は2006年2月1日現在153施設2890病床(緩和ケア Vol.16 No.2 March 2006 より)
でも、病床数は都道府県によってかなりばらつきがある。

日本でのホスピス・緩和ケア施設の増加も必要だと思うが、今すぐにはベット数を増やすというのは不可能だろう。
それに、ベット数を増やすことにこだわり、ケアの質のがお粗末になってはならない。
専門知識を持ったスタッフの確保、スタッフの教育、ケアの質の向上も忘れてはならないと思う。
また近辺地域のホスピス・緩和ケア病棟で連携をとり、空きベット待ち患者さんの対応がスムーズにいくよう、施設同士の連携、医療者側からの情報提供も強めて言って欲しいと思う。


私がホスピスを勧めるわけ

日本に住む人から

「ホスピスを勧めるということは本人(患者)に”もう助からない”、”もう死ぬ”といっていると同じではないか。それはあまりに酷なことではないか」

そんなことを何度か言われたことがある。


それはやはり、日本の多くの人が持つホスピスのイメージが”ターミナルケア(癌末期のケア)”だからではないかと思う。

ターミナルケアはあくまでホスピスでのケア、緩和ケアの一部に過ぎない。

また日本では緩和ケアと癌治療が切り離されて考えられているからではないかと思う。
緩和ケアと癌治療は切っても切れない縁というか、癌治療の初期段階から症状コントロールとして緩和ケアがもっと関わっていったほうがいいとも思うが・・・。

私はその緩和ケアの症状コントロールにもっと注目してもらいたいと思う。

ホスピスや緩和ケア病棟には癌や進行性の神経・筋疾患などの病気の苦痛に苦しむ患者さん・家族の身体的だけでなく、精神的な苦痛を緩和するスペシャリストがそろっていると思って欲しい。

ホスピス・緩和ケア病棟のスタッフはそれを専門にしているので緩和医療学会などが出している緩和ケアのガイドラインなどの知識もしっかりもっている。
患者さんと家族を中心にしたQOL(クオリティ・オブ・ライフ;生命の質)を大切にしたケアを提供していると思う。

もちろん、一般病棟でも緩和ケアの症状コントロールに積極的に取り組んでいる医療スタッフはいる。けれども、スタッフがどれだけがんばろうと、一般病棟では無理が出てきてしまうことだってある。

現行法による看護職員の人員配置は日本看護協会の2005年11月の資料によると、たとえば病床数が45床(稼働率90%、患者数40名、3交代、2人夜勤)と仮定した場合、看護師は一人で昼間に約10名、夜間に約20名の患者を担当することになるという。

それに比べ、ホスピス・緩和ケア病棟の診療報酬の基準は、患者1.5人に対して看護師1人以上となっている。
(しかし、朝日新聞の調査によると、平均は、患者1.2に対して看護師1人とされ、現場のスタッフからは人手不足で十分なケアができていないとの声もあるとこのと。)

看護師が受け持つ患者の数の違いから見ても、明らかに一般病棟の看護師はあわただしく働いていると思う。この状況では、一般病棟の看護師は患者のベットサイドに座り、あるいは別部屋で患者さんや家族とゆっくり話す時間をもちたくても、持てない状況にあると思う。

また一般病棟とホスピスの違いは、患者中心にケアが進められるということ。もちろん、コレも一般病棟では行われているが、一般病棟では朝の検温が6時、ご飯が何時、消灯が9時、面会時間が何時まで・・・など時間がある程度決められており、そのなかで患者さん、家族はあわせていかなくてはならない。
ホスピス・緩和ケア病棟の場合は結構フレキシブルで、朝、患者さんが遅くまで寝ていたいのなら起こさずにおいたり、ご飯の時間は患者さんに合わせたり、家族の人が料理を作れるキッチンが病棟内にあったり。ペットの面会も許可してくれているところもある。患者さんがタバコやアルコールなどを楽しむことができるところもある。

そして私がホスピス・緩和ケア病棟を勧めたいほかの理由は”家族のため”。
私は患者さんだけでなく、家族にも支えは必要だと考えている。
患者さんが苦しむ姿を見ている家族の苦痛は時に計り知れないものがある。
一般病棟では家族のケアまで行える時間と余裕があるだろうか・・・。やりたくてもできないというのが現状ではないだろうか。

そして患者さんが亡くなった後の家族のサポートも多くのホスピス・緩和ケア病棟が取り組んでいる。

ホスピス・緩和ケア病棟がターミナルケアだけの場ではないと理解してもらえればホスピスを勧めるのが酷だということにはならないのではないかと思う。

また、私は家族間やパートナー間で、普段から死について、緩和ケアについて話して欲しいと思う。ぜひ、自分の意思を家族またはパートナーに伝えておいて欲しいと思う。
自分が癌になったらどうしたいか。積極的治療ができない場合どうしたいか。最後はどう迎えたいか。

幸い、というか私が緩和ケアにかかわっているし、私の彼は癌治療に関わる仕事もしているので、私たちはお互いが癌になったらどうするかなど話す機会が多い。
「積極的に治療ができないのであれば、それは仕方ない。でも、苦痛の緩和はしっかりやってもらいたい。」とお互い話している。

癌でもないし、そんな縁起の悪いこと話したくないと思う人もいるかもしれないけど・・・。
でも、こういったことを話すも大切なことだと思っている。
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