イギリスでの在宅緩和ケアの現状(1)のメールのやり取りのつづきです。



> 入院可能はホスピスのベッド数が日本よりもずっと多いんですか?
Help the Hospiceによるとイギリスのホスピス&緩和ケアのベット数は3,194 床。
http://www.helpthehospices.org.uk/about-hospice-care/facts-figures/
雑誌の緩和ケア9月号によると日本の緩和ケア病棟承認施設のベット数は4,065床。


そして、 Googleによると2009年のイギリスの人口は約6200万人、日本の人口は1億2700万人。

単純計算だと・・・ホスピス緩和ケアベット1床に対する人口比がイギリスは19411人に対して、日本は31242人。(計算が違っていたらすみません)


このような単純な計算からすると、イギリスは日本よりもホスピスのベット数が多いみたいですね。
 
あと、ホスピスの滞在日数がイギリスは日本よりも短いのでベットの回転率も高いためもあると思います。
ちょっと古いですが、Hospice and Palliative Care Directory 2008によると、2006-7年のInpatient servicesのMean length of episode of careは12.9日だそうです。
 
 
> 在宅療養を望む患者さんの方が多いんですか?
私が日本で働いていたのはもう10年もまえなので、今の日本の患者さんたちの動向は分からないのですが・・
イギリスはEnd of Life Care Strategyにも掲げられたように、在宅死を望む患者さんのサポートを推奨していますから、在宅を望む人は多いと思います。
たしか半数以上が在宅療養または在宅死を望んでいるというデーターをきいたことがあります。
 
NHSの病院は治療が終わればさっさと退院を通告されるので、(たとえば出産であっても異常がなければ即日または翌日退院、簡単な手術なら術後1・2日で退院)、イギリス人の頭の中では病院でできる治療が終われば退院、病院は長期療養の場ではないと認識されているのかも????
 

> 都会と郡部では違いがあるんでしょうか? (urban vs rural)
詳しいデーターは見たことがないのですが・・・・。
田舎のホスピスで働き、田舎で訪問看護師、今はロンドンの中心部の病院で働く自分の経験からは・・・・
ロンドンの方が在宅サービスは充実しているかもしれません。
ロンドンの一部地域はHospice at Homeというシステムがあって、終末期の患者さんの在宅への移行がとってもスムーズにいけます。
訪問看護師も夕方・夜間サービスをしているところが多いし。
 
田舎は地域によって訪問看護師のサービスが日中だけだったり、夜間はなかったり・・・・。
 
でもワイト島のようなど田舎でも、Hospice at Homeがありますし。
地域によりけりですね。
 
> NHSで全額まかなわれると言うことは、やはり療養や治療も制限されると認識してよいでしょうか?
がん治療については、必要があれば化学療法も放射線療法もするので、そこまで制限されている印象はないです。
たーまに、諸外国で認証されている抗がん剤がNHSがカバーしないから寄付を募って治療を受けたという患者さんの記事をみることもありますが・・・・。
たしかに日本と比べてしまうと、ところどころ待ち時間があって、多少スローかもしれません。
 
たとえば、放射線療法、抗がん剤もまったく効果なし、手術は不適応、治療手段はまったくなしという患者さんが「効果がないのをわかっていても、どうしても抗がん剤をして欲しい」と懇願したら、日本ではどうするのでしょう?
イギリスだったら、きっぱり「残念ながら効果はなく、副作用がでるだけなのでやりません。」といわれるでしょうが・・・・。
 
緩和ケア・終末期ケアに関しては、制限されているようなことはないと思います。
症状緩和のために効果があるとおもわれえるのであれば、化学療法、放射線療法、外科的手術もおこないますし・・・・。
終末期であれば、在宅で看取れるように、電動ベットなどの機材、介護士の派遣、訪問看護師の派遣はすべてNHSでカバーされますし。

 
> 「絶対にこの病院からわしゃ退院せん!」と言うときはどうしているのですか?
なぜ退院したくないのかを聞き、「家に帰るのが不安」だとか「家でひとりで何もできない」ような理由で、医療者から見て家に帰るのに問題はないと判断されたら、家に介護士を派遣する手配をして、帰っていただきます。
 
病院レベルのケアは必要ないが、たしかに家では無理だろう、24時間介護・看護が必要だと判断されたら、ソーシャルサービスと連携しNursing Homeやresidential homeのようなところへ行けるようにします。
 
病院レベルのケア・医療が必要なく、上記のオファーをしてもそれでもごねるようだったら、おそらく、
「あなたは病院にいる必要はありません」
「あなたのしていることはベットブロッキングです。」とキッパリ通告されます。
 
そういえば、3ヶ月くらい前に、家に帰るのは嫌だ病院にいたいといってトイレに立てこもった患者さんがいました(苦笑)
結局は説得されて、介護士が一日2回家に訪問する、在宅のマクミランナースがサポートするということでトイレからでてきてくれて退院しましたが・・・。



*編集しようかとも思ったのですが、忙しくて時間がなかったので、そのまま転載しました。読みにくい部分がありましたらすみません。