イギリスに住みまもなく9年。
日本に帰ると、イギリスでの生活でなんとなく身についてしまったことがあることに気づく。

イギリスでは知らない人でも偶然にでも目と目があうと微笑みあったりすることがよくある。
私が住んでいるところが特に田舎だからかもしれないけど。
周りからそれをされているうちに、私も誰かと目があったりしたときはにっこり微笑むようになった。

でも、日本に帰ってそれをやってしまうと、凄く変な目でみられてしまったことがある。
日本では知らない人と目と目があったらすぐにそらす、というのがいいのだろうか・・・・。



またトイレに入って気づくこと。
イギリスでは排尿するときの音を消すために水を流したりだとか誰もしないし、音姫なんてものはない。
私も音を気にせずするようになっていた・・・。

だから日本で外でトイレに行くときは「音姫」は忘れないようにとくに気をつけないとわすれてしまう。


そんなくだらないことが、ついつい気になっちゃう日本滞在。




今回の滞在でちょっとショックなことがあった。
私が電車に乗っていたときのこと。
車内は座席は埋まっていて立っている人も数人いた。
なんとなく、車内を眺めていたら、すこし離れたところで若い女の子が突然座り込んだように見えた。
でもそのまわりの人たちは何事も無いかのように立っていたので、
(あの女の子は座ってカバンに何か詰めているのか、靴の紐でもなおしているのかな)なんてぼんやり考えていた。

数分後、その女の子は立ち上がり、こちらに向かって歩いてきた。
そして、私の立っていたドアとは反対側のドアにもたれかかって倒れてしまった。やっぱりさっきも気分が悪くて座り込んでいたのだ・・・。

思わず駆け寄って「大丈夫?」と声をかけると「はい」返事をしてくれた。
でも顔色も悪くて、床に座り込んでしまっている。

驚いたことに、周りの人はこの出来事がまったく視界に入っていないかのよう。だれもこちらを見ないし、座っている人も誰も席を譲ってくれなかった。

駅員さんを呼ぶかと聞くと、その女の子は「大丈夫です。ありがとうございました」といって立ち上がり、次の駅でおりた。

どうして車内の人たちはあんなに無反応だったのか、私には解らなかった・・・。
友達にこの話をしたら、彼女も似たような体験があったそうで「最近、そんなもんだよ・・・」といっていた。

今回私が遭遇した電車内での出来事はたまたまだれも声をかけなかったか、私が声をかけたから他の人は声をかけなかったと思いたいけど・・・。
なんだか悲しくなってしまった。




実は15年近く前、私は満員電車に乗っていたときに、車内で倒れたことがある。
その日は短大の受験の日で、めったに乗らない満員電車だった。
眩暈がして、座り込んだところ、すぐに2人の女性が席を譲ってくれた。
しかし、吐き気が強くなり、このままでははいてしまうかもしれないと思い、次の停車駅でおりた。
すると、その駅で降りたOL風の女性が声をかけてベンチに座らせてくれた。
「大丈夫?朝ごはん食べた?これ食べて」といって彼女が持っていたキャラメルをいくつかくれた。
そして、眩暈が強くなりベンチに横たわりながらも「今日受験なのです」と私はいったような気がする。

他の人が駅員さんを呼んできてくれた。
事情を聞いた駅員さんはなんと次の電車の車掌さんが乗るスペースに椅子を出してくれて私を座らせて、目的の駅まで連れて行ってくれた。
こうして私は無事に受験をすることができ、本当に感謝している。



他人同士でも困っている人をみんなで支えあえるような社会であって欲しいなあ・・・と思ったのでした。



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