何年も前、語学留学したときに日本で歯科医をしていた人と友達になった。
彼女曰く「イギリスの歯科医療は恐ろしく遅れている。」

イギリスには国の医療制度NHSがあり、無料で医療が受けられる。(薬の処方箋代は払う必要あり)
歯科医療も昔はこのNHSにカバーされており、割安な値段で治療が受けられていた。
しかし、最近NHSの患者を扱う歯科医が激減、プライベート(全額自己負担)でしか受けられなくなってきている。

歯科医療をプライベートで受けるということは、かなり高額になることもある。
「こっちで高額な歯科医療費を払うくらいなら日本に飛行機で帰って治療を受けたほうがいいくらい」なんてうわさも聞いたことがあったので
プライベートの歯科医療=めちゃくちゃ高い!と思っていた。

イギリス人の中にはNHSとして歯科医療が受けられないのでここ数年、歯科医にかかっていない人がかなりいるのだとか。

もともと歯医者が嫌いな私。ここ5年近く歯医者にかかっていなかった・・・。


ところが、数日前の仕事中。
口の中になんだか異物が・・・。
吐き出してみたらなんと小さな歯のかけら。
あわてて舌で確かめてみたら下の2番目の奥歯が欠けているよう。
ちいさな隙間ができてしまったようだから、ほっておいたら虫歯になってしまうだろうから歯医者に行くことにした。

NHSの患者を扱っている歯医者なんて見つからないだろうと思いつつも、同じ街に住む職場の人に聞いたら隣町の歯科医にNHSの患者として最近登録できたとのこと。

翌日、早速その歯科医に電話で問い合わせ。
「もうNHSの患者は受け入れてません。」とのこと。

その後、インターネットで調べた歯科医を何軒かあたってみたけど、どこももうNHSの患者は受け入れていないという。

仕方ないので近所の歯科医にプライベートで看てもらえるか聞いたら、即日で予約を入れてくれた。
「初回診療費は21ポンドかかり、治療費は行う前にいくらかかるか説明します」とのことだった。


変な風にされたらどうしよう、高額な治療費になったらどうしようなんて不安を抱えながら診療所へ向かう。

受付に行くと名前を言う前に
「今朝電話をくれた方ですね。この質問表に答えてください」
と質問表を渡された。

質問事項は既往歴、感染症などのYes・Noのチェック。
受付に書き込んだ質問表を渡すと座って待つように言われた。

待つこと、数分。
若い男性がやってきて
「Miss(私の苗字)?」とにこやかに聞いてきた。
「歯科医のXXです」と自己紹介された。
歯科助手さんではなく、待合室まで歯科医じきじきのお迎えにちょっぴりびっくり。

椅子に座り、歯が欠けてしまったことを説明した。
「う~ん。たしかに欠けてるね。レントゲンをとって、歯の状態を見たら詰め物をすれば大丈夫だと思うよ。一時的な仮の詰め物だったら20ポンド。ちゃんとした詰め物だと60ポンドになりますが、どうします?」
問いわれた。

一時的な詰め物なんて、すぐに取れたら嫌だから、しっかりやってもらうことにした。

「では麻酔をしますね。口をあけてください。口の中が変な感じになりますけど、痛みは感じなくなりますから」といわれて口をあけていたら、ほほの内側に違和感・・・。
日本では麻酔は歯茎にされたような記憶があるけど?

そして、レントゲンをとられて、レントゲンが出来上がるまで待合室で待つように言われた。
待っている間、顔の左半分がはれぼったく感じてきた。さらに下唇や舌の半分も麻痺している感じ。

10分ほどで診察室に呼び戻された。
お決まりの歯を削るいやーな音に耐えて治療終了。
思ったよりもスムーズだった。

今回の治療費60ポンド。日本円にして約1万2千円。
日本円にするとすごく高い気がするけど
予想していたほど高くなくてほっとしたし、一回の診療ですべて終わったから気持ち的にもすごく楽だった。
(日本でちょこちょこ治療されて、何回も歯医者に行かなくては行けなかったのがすごく嫌だったので・・・)



でも、困ったことがひとつ。
麻酔が効き過ぎ!!量が多かったのか?!
治療が終わってうがいするときも口がうまく閉じれなくて、水が麻酔が効いているほうの口角からだらだら流れてしまってうがいなんてできたもんじゃなかった。

麻酔を打ってから3時間も顔の半分、下唇と舌の一部が麻痺したまま・・・。
おまけにこの間、うまく喋れなかった。

おかげで友達のうちでランチだったのにみんなと一緒に食べれなかったし、おなかぺこぺこになってしまった。




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