「ホスピスで働くのって嫌じゃないの?死ぬ人ばかりでしょう?」
「亡くなる患者さんばかりで悲しくなってこない?」
ホスピスで働くスタッフなら一度はこのようなことをいわれたことがあるのでは・・・?

外科であれば、患者さんは手術を受け病気が治ったり、症状が改善して退院していく。肉眼的にも、検査データーなどでも結果を知ることができる。
患者さんが快方に向かい退院するという過程を通過することによってスタッフの仕事に対するSatisfaction(満足をもたらすもの)が得られるかもしれない。

なぜ私たちはホスピスで働くことを選び、やりがいを感じ、今後も働いていこうと思うのか。
ホスピスで働くスタッフにとっての仕事に対するSatisfactionってなんだろう・・・?

私は、患者さん・家族との信頼関係を築き、Quality of life(QOL)の向上を図ることではないかと思う。
単に私たち医療者側からみた、判断した患者さんのQOLでは、医療者の自己満足に終わってしまうのではないかと思う。しかし、患者さんや家族との信頼関係を築き上げる中で、患者さんにとってのQOLとはなにか、そしてそれを向上させるケアを提供できているのかを判断することもできるのではないか。
患者さんや家族にとっていいケアが提供できていなければ、信頼関係を築き上げることは不可能だと思うから・・・。

ホスピスでは治癒の見込みの無い疾患の患者さんを対象としているため、やはり死亡退院も多いのは事実。
そして、死亡退院されてそれっきり患者さんの家族とのコンタクトが途絶えてしまうこともある。あの患者さんの家族はどうしているだろうか・・・と考えることもある。私達の提供したケアをどのように思われただろうか、と思うこともある。

多くのご家族が感謝の言葉やカード、お菓子などを持参し再びホスピスを訪れてくれる。そして、お葬式がどんなだったか、家族のみんなはどうしているのかと教えてくれる。

けして感謝の言葉が聞きたいがためにこの仕事をしているわけではない。

ただ、残されたご家族から入院中だった頃の患者さんの話を聞いたり、一緒に懐かしんで患者さんの話をすることで、私たちが亡くなった患者さんに対してどんなケアを提供することができたのか、それは患者さんのQOLの向上につながっていたのかを振り返る機会にもなっているのだと思う。
もちろん、ご家族からのポジティブなフィードバックもこの仕事をやっていてよかったと思わせてくれる。

ホスピスでの仕事はけっして暗い仕事ではない。Satisfactionの得られない仕事ではない。
患者さんと家族の残された時間のため、患者さんのQOLの向上のためサポートをしていく重要な仕事だと思う。
そしてそれに関われるこの仕事はとてもやりがいがあると思うし、今後も私はこの仕事を続けて生きたいと思う。