「いくら痛みがあっても麻薬を使いたくない」
「麻薬を使うのは止めて欲しい。」

麻薬=強い薬、死に近づく・・・そんなイメージがあるのか、日本で麻薬を使うと話すと嫌悪感をあらわにする患者さんや家族に何人か出会ったことがあった。

ここイギリスでも、麻薬に対しての嫌悪感を抱いている人はいる。

Harold Shipman

彼を知っている人はいるだろうか?

彼は元GP(かかりつけ医)でDiamorphineの大量投与で患者さんを殺害した。
(Diamorphine:麻薬。別名ヘロイン)
2004年の警察の最終的な発表では、1975年から約25年間にわたりその被害者数は215人と言われている。
そして終身刑に科せられたが、2004年獄中で自殺している。

彼は温厚な人柄で患者さんの信頼を得ていたGPだったので、とてもショッキングな事件だった。
メディアでも大々的に報道された。

その後、Diamorphineの取り扱い、在宅での使用の規制が厳しくなっている。

しかし、現在Diamorphineの供給量が少ないため、あまり使われていないが。その代わりにOxynorm(Oxycodone)が主に使われている。(過去の記事:Shortfall of Diamorphine

事件から何年も経った今も、麻薬を使うということに嫌悪感を隠せない家族や患者さんはそれほど多くは無いが時々出会う。
もちろんこのShipmanの事件だけではなく、麻薬というイメージを”悪”として捉えているケースなどいろいろあるのだけど・・・。
そういった家族の方には、なぜ必要なのか、スタッフは家族の人に納得してもらえるように説明をしている。


このShipmanの起した事件は時が経つとともにすでに人々の記憶忘れ去られているかもしれない。
けれども、イギリスの医療に、緩和ケアに暗い影を落としてしまったのも事実。

Shipmanの事件についてもっと知りたい方はこちらをどうぞ
パソコンBBC NEWS 「THE SHIPMAN CASE」