日勤勤務にかわり2週間半経ち、なんとなく日勤の仕事にも慣れてきた。
当分はチャージナース(その勤務帯の病棟責任者)の下で働くからのんびり仕事を覚えていけばいいやなんて思っていた。でも、スタッフが病欠だったり、人数調整で私がチャージナースになる機会がけっこうある・・・。
まあ、分からないことは看護助手さんに聞いたり、ホスピス全体のチャージナースへ聞きに行ったりしているので何とかなっているけど。
でも今まで一緒に働いていた夜勤看護師の仲間に申し送りをするというのはなんだか変な感じ。(笑)

ある日、ドロシー(仮名)という患者さんが入院してきた。
彼女は癌だが、それに伴う症状はうまくコントロールされており、日常生活もほぼ自立しているという患者さん。
はたからみたら、ドロシーはなぜホスピスに入院してきたの?と思うかもしれない。

ドロシーはレスパイトケア目的でホスピスに入院してきた。
(レスパイトケアとはいわゆる短期入所のような感じでケアをしている家族のための休養、ホリデーや用事があって患者さんのケアができないときに、ホスピスに1・2週間入院してもらう。)

ドロシーの娘さんは働いているもののまだティーンエージャー。母親の病状を直視できないでいるらしい。
ドロシーの兄弟もとても親身にドロシー親子を看てくれているが、やはり娘さんの苦悩はかなりのものらしく、そしてドロシー自身もそれが心配でならない。そんな二人の親子関係に危機が訪れてしまったのだ。
さらにドロシーの死後、死別のサポートが娘さんには必要だろうということでドロシーの訪問看護師からホスピスに依頼が来たのだ。

ここでファミリーサポート看護師の出番。
このファミリーサポート看護師は病棟で働く看護師が兼任しているわけではなく、家族のサポートを専門にしている看護師。彼女はもう10何年もこの仕事をしているベテランの方。大学で緩和ケアの修士号もとっている。
ファミリーサポート看護師は患者さんの在院中だけでなく、死後も家族のサポートを行っている。

もちろん、このファミリーサポート看護師一人だけで何とかするというわけではなくて、彼女を中心にスタッフみんなでサポート体制を整え、退院へ持っていく予定になっている。

まだ若い子供をひとり残して逝かなければならない母親・・・。
大切な母親を失くしてしまう子供・・・。
この二人の関係が少しでもいい方向へ向かい退院することができることを願っている。

ホスピスは患者さんだけのためではなく、その家族のためでもある。
治癒の見込みの無い疾患を抱える患者さんにケアが必要なのはもちろんのこと、その家族の心のケアも私たちホスピスのスタッフの仕事だということを多くの人に知っておいてもらいたいと思う。


以前にも何度かファミリーサポート関連の記事も書いているので、もし興味ありましたら見てみてください
・Family support[2006年03月15日(水)]
・私がホスピスを勧めるわけ[2006年03月04日(土)]
・悲しみ[2005年10月18日(火)]


PS。
私はドロシーのいる病棟とは別の病棟で働きだしたので、どうしているかなーと思ったら、暇そうにホスピスの中をぶらぶらしているドロシーを発見・・・。
声をかけると「会いたかったわ、ダーリン!」といって抱きついてきた。
「やることなくって暇なのよ~。TVも5チャンネルしかないし。(ドロシーの家にはSKYTVがあるそうな)」
残念なことにドロシーの病棟には一緒におしゃべりできるような患者さんはいないので、スタッフが話し相手になっているものの、暇をもてあましているようだった。

週に一回ホスピスでデイケアを行っているので、デイケアのある日は入院患者さんもデイケアに参加していろいろ作ったり、おしゃべりしたりすることができるが、それ以外の日はドロシーのような状態の患者さんにとっては病棟は静か過ぎて暇をもてあましてしまう。
何か病棟でもできるアクティビティがあればいいなあ・・・と思った。