人の手には何か不思議な力がある。
触れられること、その暖かさを感じることで癒されるものがある。
私自身の経験からそう信じている。

私は14歳のとき、階段を踏み外し(マヌケ・・・)7・8段滑り落ちて、全体重がかかって左足首をひねったために骨折し靭帯を切断してしまったことがある。
そのときはなぜかさほど痛くなく、そのまま部活もこなして帰宅。そして歩けなくなってきたので整形外科を受診し、即手術が必要といわれた。

手術では骨折箇所をピンで固定するとともに、切断した靭帯をつなぐというもので、下半身のみの麻酔で行われた。だから術中、意識はクリア。
皮膚が引っ張れるような異様な感覚と、手術室にこだまする金属のかちゃかちゃという音。医師や看護師の話し声。私は恐怖のあまりに半分パニック状態・・・。
麻酔が効いて痛くないはずなのに、痛くてたまらず、半泣きだった・・・。

そんな私を見かねて一人の看護師さんがそっと手を握ってくれた。
暖かい手だった。
すると不思議なことに痛みが和らぎ、落ち着けた。

それを見計らったように、看護師さんの手が離れた。
その瞬間から私は再びひどい痛みと恐怖に襲われて、うめきだしてしまった・・・。

またその看護師さんが手を握ってくれた。するとまた痛みが和らぎ落ち着いてきた気がする。
だから、必死で看護師さんの手を握っていた・・・。
この手を離すまい、そんな感じで私は必死だった(苦笑)

そんな私を見た医師は笑いながら
「そんなに痛いわけないでしょう?ちょっと眠らせてあげるから」
といって、静脈から何か薬剤を投与され、私の意識は遠のいた。

どのくらいたったのか、声をかけられて目を開けると母がいた。そして医師に手術が無事終わったことを告げられた。

この経験を通して、人の手のには不思議な力があると信じている。
私の感じた痛みは身体的なものというより、精神的なものが大きかったのかもしれない。
それを癒してくれたのは紛れもなく、看護師さんの手だった。

仕事をしていて思う。
たぶん、心がこもった手でなければ、癒すことはできないだろう。
私の手は患者さんの痛みを癒すことができているだろうか・・・・。

癒しの手を持つ、そして心を持つこと。
それを忘れないようにやってゆきたいと思う。



PS.
実はこの怪我がきっかけで私は看護師になることを決意した。(それまでは教師になりたかったんだけど)
この怪我のおかげで、私は約4ヶ月間松葉杖生活を強いられ、再手術をうけ、思うように動けない苛立ち、思春期のきむずかしさも加わって、家族にひどく反抗的になりすごく迷惑をかけた。今思い出しても本当に嫌なやつだった。そんな自分に飽き飽きして、自己嫌悪に陥り、死んでしまいたいと何度も思った。

でも、まてよ・・・・。どうせ死ぬのだったら何か人のためになるようなことをしたほうがいいかも・・・???なんて思い始めて、
進路相談で「看護師になるので高校は衛生看護科へ行きます」といい、先生と両親をあわてさせたのでした・・・。(苦笑)
普通科高校へいってからでも遅くないと猛反対されて親の説得には半年を要した・・・。

理由は何にしろ、看護師になってよかったなあと思う。
(向いているか向いていないかは別として・・・)
いろいろ勉強しつつ、たくさんのことが経験できる。やりがいを持って仕事できる。
いつまでも、勉強し成長し続ける自分でありたい、そんな人生目標にピッタリの仕事だと思う。

教師になる夢は短大時代アルバイトで塾講師をしたので、一応かなえた?のかも。
小中学生相手にいろいろ苦労もしたけど、結構楽しかった。
生意気な子もいたけどね・・・。
機会があったらまたやってみたいな。