多くの(すべてではないが)イギリス人にとってMagic drinkといえば紅茶ではないかと思うこのごろ。

夜勤をしているとき、夜中に起きている患者さん。なんだか不安げ・・・。
「どうしました?何か飲み物いりますか?A cup of tea?」と声をかければ
ほぼ7・8割の患者さんが「Yes, Please.」と答える。
紅茶を一口飲んで、「Lovely」というときのほっとしたような表情。
そしてまた眠りにつく患者さん。
朝にスマイルとともに「紅茶とってもおいしかったわ。あの後よく寝れた。ありがとう」といってくれた患者さんは一人や二人ではない。

紅茶にはカフェインが含まれるから、夜中に飲んだら寝れなくなるんじゃ?という疑問は当初あったが、イギリス人にとって紅茶は別物のよう。

そして朝。眠そうな患者さんたちに朝の薬とともに紅茶。
眠そうだった患者さんたちも「Would you like a cup of tea?」といえば笑顔で答えてくれる。

逆に「No」といわれてしまうと(大丈夫か、この患者さん。調子悪いのでは・・・)と心配になる。

患者さんが亡くなって悲しみにくれる家族。お別れがすんだところで、いつも私たちは紅茶をポットでつくって持っていく。紅茶を飲んで一息ついてもらってから死後の手続きや葬儀についての説明を始める。

そしてみんな紅茶の好みがある。
ウサギ「weak, no suger please」(薄め、砂糖なしで)
ニワトリ「strong please」(濃い目で)
カエル「milky and 2 suger please」(ミルクたっぷり、砂糖2杯)
ヒヨコ「drop of milk please」(ミルクちょっぴりで)
猫「only sprinkle suger please」(砂糖は振り掛ける程度で)
などなど・・・。

実は私、患者さん好みの紅茶を作るのが苦手である。
だからいつも、はじめて看る患者さんの紅茶を作るときはミルクと砂糖はすぐにとりにいけるようにしておき、紅茶の色はいいか、甘さは大丈夫か聞いておいて、覚えておくようにしている。

たかが紅茶とあなどるなかれ。
時には精神安定剤以上の効力、癒しの効果を発揮する不思議な力を持っている。

チューリップ番外編として・・・
イギリス人スタッフにしっかり働いてもらうためにも紅茶は重要。
申し送りが終わり、仕事スタート!というときにチャージナースの私が
「まず、紅茶のもうか?」といわなければ大変なことになる・・・・。

そのまますぐ仕事を始めようものなら影で
「紅茶も飲ませてもらえずに働き始めた!」「のどがからからで仕事できないわ」
といわれてしまうし、みんなの仕事のスピードが明らかに落ちる・・・・。
(紅茶はあなた方のペトロ(ガソリン)ですか・・・・とぼやきたくなる私。)

忙しくて、すぐに仕事に移ってもらいたくても、そこはぐっと我慢。100歩譲って
「今日はちょっと忙しいから、クイック・カップ・オブ・ティーして仕事始めようか!」
ということにしている。
(内心はとっとと飲んでさっさと働こうよ!という気分だけど)

たとえ、クイック・カップ・オブ・ティーといえど、飲むか飲まないかでも仕事のスピード、よい人間関係?には欠かせないと時々思う。
もちろん、ナースコールや早急に対処が必要な患者さんたちがいるときはクイック・カップ・オブ・ティーも省くけど・・・・。