英国ホスピスコラム


イギリスの病院でマクミラン緩和ケア専門看護師
(Macmillan Palliative Care Clinical Nurse Specialist)として働くナースのブログ

2008年10月

転職

突然ですが、転職します


この転職についてはずいぶん悩んだ。
今まで働いていたホスピスのスタッフはみんないい人ばかりで本当に楽しかった。
私がやめるといううわさが立ったときは、ナースだけでなく医師も辞めないで欲しいといってくれた。あるスタッフには泣かれてしまったし・・・。

そこでスタッフナースとして働き始めて、5年になろうとしていた。
チームリーダ不在時には病棟のチャージナース、ホスピスの全体のチャージナースもしてきた。
チャージナースをしつつ、外部からの患者の入院依頼も受ける役目もするようになった。
ジュニアのスタッフの指導やサポートワーカーのAppraisal、ほかにもいろいろ関わる機会が多くなってきた。

その一面でこの職場ではこれ以上、上のポジションには就けないだろうということも感じていた。現在のチームリーダーたちはおそらく定年までは辞めない。
Degreeはうまくいけば来年末に終わるだろう。
将来のキャリアのために、このままでいいのだろうかとずっと考えていた。


悩んだ挙句、NHSの病院に併設されているホスピス(緩和ケアユニット)へ転職することに決めた。
教育センターも併設されていて、デイケア、同じ建物内に在宅のCNSチームのオフィスもある。
来年にはOncology、Haematology、Transplant、Palliative careの病棟が集まりがんセンターとして稼動する予定になっており、今までよりも大きな組織の中で、また新しい経験がつむことができ、自分のキャリアのプラスになるのではと思っている。



☆  ☆  ☆  ☆  ☆



シニアシスター(看護師長)のお家で私のLeaving Partyを開いてくれた。
「内輪だけでささやかだけど」って言われていたし、病棟の掲示板にも何もお知らせも載っていなかったから、(来ても数人かなー)と思っていた。

当日。
シニアシスターの家についてビックリ!
同じ病棟で働いたスタッフは1人を除いて全員きてたし、一緒に夜勤をしたスタッフや辞めたスタッフも何人か駆けつけてくれた。
予想以上の人、人、人に、おもわず涙(笑)

「Hiが辞めるのは凄く残念だけど、Hiの将来のためにいいことだと思う。がんばって!」とみんなに励まされた。

そして「Hiが子供を生むときにはみんながおばあちゃんがわりになるからね!」といってくれた。
(注:私はまだ妊娠してません・・・)

ほんとに、みんないい人ばかりで、ほとんどのスタッフが私よりずいぶん年上だったけど、仲良く、楽しく仕事できた。
この職場を去るのは凄く後ろ髪ひかれる思いだった・・・。


来週からいよいよ新しい職場で仕事開始。
気持ちも新たにがんばろうと思う。





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聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥

イギリス各地医療機関ではホリデーシーズンになるとどこも人手不足に陥る傾向がある。
みんなが有休をとるから。
特に普段ぎりぎりのスタッフ人員でまわしているところなんて、とんでもないことになったりする。

人手が足りなくなると、派遣会社にSOSを出すことになる。
そして派遣会社を通してやってくるスタッフをエージェンシーナースと呼んでいる。

このエージェンシーナースを派遣してもらうと、凄くお金がかかる。
だから、うちの職場ではエージェンシーナースを使うのは最後の手段的な選択となる。

そしてこのエージェンシーナース、はっきりいって私は凄く仕事ができるひとには出会ったことがない。

わたしの職場で夜勤スタッフの有休のカバーのためにエージェンシーーナースを使わざるを得ないことがあった。

このエージェンシーナースたち、なんと1週間以内に誤薬を5件以上おこってしまった。(同じ人だけではないらしいが・・・)

これでは患者さんの安全も確保できないし、ケアの質の問題もあり、エージェンシーナースは投薬行為をさせないことにした。
その場合、もう一人の常勤の看護師がすべての患者の投薬をすることになっていた。

ある日、私は夜勤スタッフが有休をとりたいというので、変わりに夜勤をしていた。
そして、エージェンシーナースと働いていた。
そのエージェンシーナース、投薬行為ができないことにものすごく腹を立て、私を無視しようとするので
「これはわたしの判断ではない。私だってあなたに投薬してもらったらどんなに仕事が楽になるか。納得いかないのならマネージャーに電話してくれ」と言ったくらいだ。

そのエージェンシーナース、うちのマネージャーに文句を言うのは気が引けるのか、そこで引き下がった。



そして、わたしの休憩中、彼女の担当患者さんが痛みがあるので、鎮痛剤を投薬してくれとやってきた。

処置室にいくと、すでに患者さんの投薬チャートと麻薬の記録簿が準備してあって、ページも開いてあった。
(イギリスのホスピスには病棟に麻薬庫があり、病棟で使う麻薬がすべてそこに入っている。そこから投薬チャートの指示通りの麻薬を取り出し、記録簿に患者名、使用量、残量を記入。これらの作業は看護師2人でチェックし、患者に投与している。)

”Oxynorm 5-10mg X6”(Oxynormを5-10mg 6回まで24時間以内に投与してよいという指示)
があった。

しかし彼女が開いていたページはOxycontin MR。

簡単に説明するとOxynormとOxycontionはどちらもOxycodonという麻薬だがOxynormは即効性があり、患者さんが痛みがあるときにすぐ使うもの。
Oxycontin MRはゆっくり作用するタイプで、12時間おきに定期的に服用するもの。

「これは違う薬だよ。今はOxynormを使うべき。OxycontinとOxynormの違い知ってる?」
とさらりと聞いてみた。

「知ってる」とあっさり言われたので、単なる勘違いかもしれないし、あまりくどくど言ってまた彼女が機嫌悪くなるといけないし、と思って問い詰めたりはしなかった。




そして数日後。
そのエージェンシーナースとわたしの同僚との誤薬が発覚。
Oxynormを使うべきところで、二人はOxycontinを使ってしまったのだ。
幸い、定期で飲んでいるOxycontinの次の内服時間も数時間後で、患者さんに害は無かった。

麻薬類は二人でチェックしないと使ってはいけないので、二つの薬を混同してしまったわたしの同僚にもミスはあるのだが。
あのとき、私がもっと問い詰めておくべきだったか・・・と悔やまれた。


しかし・・・。

エージェンシーナースだって子供ではない。
看護師である。
あのときわからなかったのであれば、ちゃんと聞いて欲しかった。



ふと思い出した「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」

看護においてわからないことを聞くのは恥ではないのだが・・・。
わからないことを聞かないというのは、自分が知らないことを学ぶチャンス、新しい知識をえるチャンスを失うことになる。

看護では「聞くは学びのチャンス、聞かぬは一生の恥」とでもいえるんじゃないかな。

私はわからないことをわからないから教えてほしいといえる看護師でありたいと思う。




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ただいま

お久しぶりです。
日本より無事に帰ってきました。

約2週間の日本滞在中に予定を詰め込みすぎたために、後半は6日間で実家→東京→小田原→京都→大阪→広島→神戸→実家とあちこちへ行ったので、イギリスへ戻ってから疲れと時差ぼけで、結構しんどかった・・・。
歳なのか?気持ちは若くても体は正直かも?

帰国すると毎回飲み会を開いてくれる短大時代の仲間。
昔の職場の仲間、上司や医師。
そして友達。
みんなとおいしいものを飲んで食べて本当に楽しかった。
あっという間に時間が過ぎてしまった。

でも予定が合わなくて会えなかった方々ごめんなさい。



そして今回の帰国ではある先生のお計らいで、日本の緩和ケア病棟へも見学にいけたし、緩和ケアセミナーでイギリスの緩和ケアについて講演もさせていただいた。
またこの地域の緩和ケア関係者の方々とも御食事をご一緒して、みなさん本当にいいかたばかりで、楽しいひと時も過ごせました。
いつか日本に帰ってくるときには、この地域で働いてみたいなと思いました。
S先生、いろいろとありがとうございました!



スロー更新ながらも気づけばこのブログ、もう4年もやっている。
このブログのおかげで沢山の緩和ケア関係の方々と交流できるようになった。
ブログやっていてよかったな、と思う。
誤字脱字も多いし、とりとめのない内容も多いけど、これからもおつきあいくださいませ。


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