英国ホスピスコラム


イギリスの病院でマクミラン緩和ケア専門看護師
(Macmillan Palliative Care Clinical Nurse Specialist)として働くナースのブログ

2007年04月

ただいま勉強強化週間

病欠カバーで1日だけ夜勤をしたのが運のつき・・・。
フルタイムで日勤をしている私が一日だけ夜勤をするということは、その週の勤務形態が崩れてしまう。
おまけに病棟はスタッフ不足の上に、患者さんもケア度の高い人ばかりで大忙し。
毎日座る暇も無く、休憩に行くのもやっと、オーバータイムもやむを得ないような感じで働いていた。

私も来月32歳。
やはり身体はもう若くなかった・・・。
日本ではもっと激務をこなしていたのに、これしきの勤務で(?)ダウン。

喉の痛みから始まって、止まらない咳。
何よりもビックリしたのが、体の痛みと悪寒でがたがた震えたこと。
悪寒なんてここ何年も経験して無かったから・・・。

こんな状況では仕事どころではないので、病欠した。

1日休んで次から復帰しようかと悩んでいたら、職場からお電話。
「しっかり休んで治して」
との優しいお言葉で3連休にしてくれた。

そして今週はもともと勉強強化週間として有休をとっていたので思わぬ休暇になった。

いまだに咳がひどくて眠れないこともあるけど、快方にむかってます。

5月の頭に今の大学のモジュールの最終日でカンファレンスをするんだけど、そこで各生徒はプレゼンテーションをすることになっている。
このプレゼンがこのモジュールの試験になっている。

口頭でのプレゼンか、ポスターでのプレゼンか選べるのだけど、私はもちろんポスターを選んだ。
以前口頭でミニ・プレゼンを2回したことがあるが、2回とも緊張してボロボロだったし・・・。
やっぱり見知らぬ人や多数の人の前で話すのは苦手。

病気だったおかげで、作業が大幅に遅れているので集中してやらなくては!



このモジュールが終われば、ホリデーが待っている☆
私の誕生日が5月17日で、誕生日プレゼントでLos AngelesとVancouverに行く予定になっている
(たまたまこの時期に彼氏が仕事でLos Angelesに行く事になったのでつれてってくれるそうだ)

ホリデーを楽しみに、今はせっせと勉強に精を出すことにします。


PS.Los AngelesとVancouverでぜひここは訪れるべきというお勧め情報お持ちの方、ぜひ教えてください♪


イギリスで看護師になるには

「イギリスで看護師になるにはどうしたらいいですか?」
という問い合わせ・質問を最近何度もいただいていますので、記事としてのせておきます。


*日本の看護師免許を保持している方でイギリスで看護師の免許を取りたい方*


Nursing and Midwifery Council(NMC)のサイトのOverseas Nurses Registrationに手順が載っています。

申請の際に必要な英語のテストはこちら: International English Language Testing System(IELTS)




*日本で看護師免許は無いけれどイギリスで勉強して看護師の免許を取りたいという方*

私の知り合いの日本人で日本での看護師免許が無く、イギリスで勉強して看護師になった方がいないので詳しいことはわかりません。
Royal College of Nurseing(RCN)のサイトにBecoming a nurse or midwifeというページがあるで参考にしてください







私の個人的意見になりますが、看護の基本は外国でも共通する部分がいくらかあります。日本で看護の基本はしっかり勉強しておくと後で役に立つと思います。

日本の看護師免許からイギリスの看護師免許を取るとAdult nursingの免許になりますので、当然トレーニングも成人看護が中心になります。そのため、成人の看護の経験をされていたほうがいいと思います。

どちらにしろ日本で一度看護師として最低2・3年は経験をつまれてからイギリスに来たほうが、有益だと思います。
英語に多少、自信が無くても、看護の基本、知識、経験があればいくらかカバーできるからです。

ただ2007年4月現在、イギリスでは看護師の就職難もあり、EU圏外の国籍の看護師が病院に就職するのは非常に困難です。
そしてイギリスの事務手続きはいい加減で、スローで、思うようにことは運ばす、イライラさせられることが山ほど出てきます。
EU圏外の看護師で同じようにイギリスで看護師になろうとする人がたくさんいて、トレーニングコースの少ない定員にたくさんの人が応募してくるのでかなりの競争率になります。
強い忍耐力も必要です。



困難は伴いますが、イギリスの看護師になりたいのならやるしかないです。
自分があきらめない限り、いつかできる。
Good luck!


凍結受精卵の行方

"I am distraught at the court's decision.
It is very hard for me to accept the embryos will be destroyed."


「裁判所の決断に私は心を取り乱されています。
凍結受精卵が破棄されることを受け入れることは私にはとてもつらいことです。」



泣きながら、報道陣の前で答えたNatallie Evansさん。
彼女の長い長い戦いは終わってしまった。
彼女の願いはかなわなかった。



Natallieさんは35歳の女性で、2001年に当時フィアンセであったHoward Johnstonさんと不妊治療を開始。しかしNatallieさんに卵巣癌が見つかり、その治療前にとりだしたNatallieさんの卵子とHowardさんの精子で受精させ、6つの受精卵を凍結保存した。Natallieさんの状態が落ち着いたらその受精卵を使い子供を作るために。

しかし、2002年NatallieさんとHowardさんは別れてしまい、Howardさんは病院に凍結受精卵の破棄するようを申し出た。

イギリスの現在の法律では男女双方の同意が無ければ、凍結した受精卵を使用することはできないのだ。また受精卵を移植する前までに使用の同意を撤回することも認められている。

そしてNatallieさんは卵巣を摘出したため自然妊娠は不可能。

NatallieさんはHowardさんの同意無しには凍結受精卵を使うことができない。

Natallieさんはこのケースを裁判に持ち込みHowardさんの同意無しでこの凍結受精卵を使用できるように訴えてきた。

2003年にイギリスの最高裁判所ではパートナーの同意無しでの凍結受精卵の使用は認められず敗訴。

Law Lords(法官議員会) はこのケースをthe House of Lords(上院:最高司法機関)での審議を認めず。

彼女はこのケースを欧州人権裁判所へ持ち込むも、彼女の意思にはそぐわず。
そのため、Grand Chamber of the European Court へさらに訴えた。

そして昨日、4月10日、Grand Chamber of the European Courtでの審議の結果、Natallieさんは敗訴。
Howardさんが意思を変えない限り、この凍結受精卵は使うことができず、破棄することになる。

参考サイト:BBC NEWS
Woman loses final embryo appeal
Woman 'distraught' over embryos
Q&A: Frozen embryos case
Ex-partner backs embryo decision
Embryo case: Reaction
Timeline: Frozen embryos



Natallieさんはとってはつらい結果となってしまい、かわいそうだと思う。

もしもこれが自然妊娠中の出来事だったら、たとえパートナーが拒否しても、女性は生みたければうむことはできただろう。
実際私の知人でも長年連れ添っていたパートナーとの間に子供ができたが、パートナーが中絶を望んだために二人は別れてしまった。その後知人はシングルマザーになる道を選び赤ちゃんは生まれた。

受精卵といえ、赤ちゃんの卵。受精卵を作ることに同意したのであれば、子供を作ることに同意したも同じようなことに思えるが・・・。

しかし、生まれてくる子供の将来も考えれば、これらの過程の中で生まれた自分をどう思うのだろうか・・・。

医学の進歩もあり、卵巣をなくしても凍結しておいた受精卵で時を置いて妊娠が可能になった。しかし、その時間がカップルに立ち止まって考えなおす時間も与えてしまったのかもしれない。


Natallieさんが卵子のみを凍結していたら
(卵子のみの凍結は受精卵や精子の凍結よりも難しいらしく、イギリス国無いでも限られた病院でしか行われていないとか)
Natallieさんの卵子がドナーの精子と受精し保存してあったら状況は変わっていた。
彼女は自分の子供を持つことができたのかもしれない。今となっては手遅れだけど・・・・。


イギリス国内でも賛否両論あり、私自身もはっきりと賛成とも反対ともいいがたい。Natallieさんには深く同情しているが、パートナーの同意無しで、しかもそのパートナーは受精卵の使用を明らかに拒否している状態ではやむを得ないと思う。


独立型ホスピスの欠点

日本にあるホスピスや緩和ケア病棟の多くが大きな病院のなかにあったり併設されているのに対して、イギリスにあるホスピスの多くは病院に併設されておらず、独立した建物のものが多い。
そしてホスピスの中でも国のヘルスサービスで運営されているものとチャリティ団体によって運営されているものがある。

チャリティ運営のホスピスだろうが、国のヘルスサービスの運営のホスピスだろうが近辺の病院と連携をしており、CTやレントゲンなどの検査や緩和目的の化学療法や放射線療法では患者さんを病院に転送したりする。

ビル(仮名)はある脳腫瘍の患者さんだった。
病院での放射線療法が終わり、ホスピスへリハビリテーション目的で入院してきた。
ところが腫瘍が増大しているのか、激しい頭痛を訴えるようになり、指示動作もできなくなり、明らかに病状は悪化してきていると思われた。

彼は数ヶ月先にMRIの検査予約があったが、それまで待つこともできないのではというホスピスの医師と病院の腫瘍科の専門医が話し合い、緊急でCT検査をすることになった。

しかし、CT検査へいく数日前から頭痛はさらに悪化し、頭を横に向けるだけでも頭痛を誘発しつらそうだった。ベットからおきれない日が続いた。
薬の内服も困難になってきたので、シリンジドライバーで持続皮下注射にて痛み止めや吐き気止め、鎮静剤などの投与も開始した。

このような状況でCT検査ができるのだろうか、果たして検査をしたところでさらに治療する手段はあるのか?もうその治療適応では無いのでは?という意見がスタッフからもでた。

そしてビルはCT検査の前日、身体を横に向けた際、痙攣発作を起し短時間だが意識消失。

この状態で病院までの道のり1時間を救急車でいくとはいえ、かなりのリスクに思えた。移動やCTの検査中に何かあった場合、どうなるのか。

ホスピスの医師の中でもCTに行くべき、止めるべきで意見は真っ二つに割れた。
「手術ができるとしたらこれが最後のチャンスになるかもしれない。ぜひCTを受けるべき」という医師。

「ここ数日の状態の悪化を見ても、手術は困難にちかい。危険を冒してまで病院に行く必要はあるのか。患者の状態は移送にたえられるのか?」という医師。

最終的には病院の腫瘍科の専門医が
「CTをみて、まだ手術できるチャンスがあるかもしれない」というので結局CTに行くことになったが、病院にそのまま転院という形をとってもらうことにした。

Medical Admission Unitという病棟へベットを確保してもらい、そして移送には救急隊員(薬剤の投与ができる)に付き添ってもらうことになった。


あーだ、こーだといろいろあったが、サポート体制は整ったのでビルを病院へ送り出した。




しかし、その約5時間後。
ビルは救急車で帰ってきた。
病院からの連絡は一切無し。
なんの前触れも無く、救急車で病院から送り返されてきたのだった。

「CT上腫瘍の増大が著しく、これ以上の治療は困難」とビルの家族は腫瘍科の医師からいわれたそうだ。

しかもあれほど手を回しておいたのにMedical Admission Unitにはベットは用意されておらず、ビルはずっとストレッチャーに乗せられたままだったそう。

さらに、Medical Admission Unitでは痛み止めの薬も投与されず、医師の診察のために待たされていたという。

帰ってきたビルはかなり調子が悪そうで、痛み止めと鎮静のための注射の投与が必要だった。



ホスピスが院内または病院に併設された形であれば、このようなケースではもっとスムーズにことは運ぶだろうと思う。
患者の検査室へいく移送時間も短くてすむし、病棟看護師も付き添えるだろう。検査の時間になったら行けばいいので検査室で待たされることも無い。

ホスピスには検査をするような設備が無いからレントゲンの検査ですら、病院へ移送が必要なのだ。
まあ、こういった検査が必要になる患者さんもそんなにたくさんいるわけでもないのだけど

今回のケースではベットがちゃんと用意されていなかったことや連絡も無く患者さんが帰ってきてしまったりと病院との連携も悪かったのだが・・・。



もちろん、独立型ホスピスのよさもたくさんある。
次の記事はそれについて書くかも・・・・?(予定は未定)

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