英国ホスピスコラム


イギリスの病院でマクミラン緩和ケア専門看護師
(Macmillan Palliative Care Clinical Nurse Specialist)として働くナースのブログ

2007年03月

有休消化

私が日本で働いているとき、有休の完全消化なんて夢のまた夢だった。
確か夏休みとして有休5日をとるよう組合のほうからお達しがあって、5日は取れたけどそれ以上は取った記憶が無い。
日本で4年間働いて捨てた有休はかなりの日数になるはず・・・。

ところが、ここイギリスでは有休はすべて消化するもの、捨てるなんてありえない。
私の今の職場4月から翌年3月を1年としてその間にその年度の有休をすべてとらなければいけない。

何かあったときのために有休を1週間ぐらい3月まで残しておく慎重派のスタッフが結構いる。
3月になると、結局とっておいた念のための有休を使わなかったスタッフがみんなして有休をとるので、病棟は恐ろしい人手不足になる。

マネージャーやシニアシスターが
「有休は計画的にとるように」
「2人以上のスタッフが同時に有休を取らないように」
といつもいつもいっているのだが・・・。

先週は1週間有休をとった看護師が3人、その週ずっと病欠だったスタッフが2人。
残されたスタッフはかなりの負担を強いられた。
Bank Staffと呼ばれる臨時職員やエージェンシーの派遣スタッフを使うにも限界があり、Bank staffやエージェンシースタッフはチャージナースができない。
スタッフみんなオーバータイムをせざるを得ない状況だった。

そういうときに限って入退院が激しくなる。
ベットの稼働率をある程度維持していないと政府からの補助が下りないということもあって、人手不足に関係なくどんどん入院を受け入れる。
病棟スタッフはさすがに疲労のピークに達していたのでベットの一時クローズ(入院数を制限する)ことを願い出たけど、あっさり却下。
ぶーぶー文句言いつつも、みんながんばっていた。


そんなある朝。
出勤すると、私のほかに看護師がもう一人しかいなかった。
「あれ?ほかの人は?」と聞くと
「私たちだけよ」との返事。
患者数は8人。半数がターミナルケアの患者さんだ。

冗談か、聞き間違いとおもってもう一度聞いてみたがやっぱり私たちだけだそうだ・・・。9時になったらエージェンシーが来ることになっていたけど。

とんでもない忙しさに、ばたばたしながら仕事をする羽目になり、それでも患者さんの前では落ち着いてケアするようにしていたけど。
トリートメントルームでシリンジドライバーの薬の準備中(麻薬を扱っている最中だった)のに、
(注:投薬ミスを防ぐため特に麻薬取り扱い中のスタッフには話しかけたりすることは極力避けなければならない)

「あのー、OOさんのことなんだけどさー・・・」
と医師が話しかけてきた。

振り返った私を見て、
「あ、ごめん、忙しそうだね。あとにするよ・・・・」とすごすごと退散していった。



あとで、この医師に何の用事だったか聞きにいったら

「Hiってば、思いっきりファイティングポーズでこわかったよ~」
といって笑われた・・・。


たしかに、患者さんの前でもなく、忙しくてばたばたしていた時、麻薬取り扱い中で注射器握り締めていた私はさぞかしこわかっただろう。。。

患者さんにはモナリザのような微笑(?)を向けるけど、スタッフ相手には地が出てしまったようで・・・。

忙しい中でもにこやかに冗談言いながら、仕事もきちんとでき、周りのスタッフへも気配りができるスタッフがいる。
まだまだ修行が足りないけど、私も彼女のように仕事できるようになりたいと思う。



立つ鳥跡を濁す

まだまだ家具がそろっていないので、2つある寝室のひとつは荷物が散乱している・・・。

「立つ鳥跡を濁さず」
立ち去る時は、後を見苦しく無いように始末すべきである。また、退き際はいさぎよくあるべきである
(広辞苑 第五版 岩波書店)

日本人だったら、ほとんどの人がこの言葉は学校で習ったから知ってると思う。
引越しの際は、綺麗に掃除して退去するもの、と私は思っていた。

しかし、ここイギリスではそんな感覚はまったくないらしい。

私がこのフラットの鍵をもらい、中に入ったとき見たものは・・・。

あちこちに散らばるごみ。

子供の壊れたおもちゃ

ぼろぼろのジーンズ

キッチンの棚からは育っているじゃがいも


そして何より私を恐怖におののかせたのは・・・・


冷蔵庫の中の牛乳。日付は・・・9月!!!
中身はヨーグルトのような部分と黄色い液体に変化していて、あまりの異様さに、触れるのもおぞましく、そのままゴミ箱へ直行。

ごみは大きなゴミ袋3袋にもなった。


不動産屋には
「キッチンの引き出しの中に郵便受けと車庫の鍵は置いてある」
と聞いていたのに、そんなものはなかった・・・。

エクスチェンジ(契約成立)前に、あれほどしつこく言っておいたのに!

文句の電話をかけると、前のオーナーは鍵をなくしてしまったらしい。
おかげで鍵を付け替えないといけなくなり、この料金をめぐって私のソリシターと不動産屋が責任のなすりあい。
いまだに決着ついてない。


ともあれ、鍵屋さんに来てもらい車庫と郵便受けの鍵をかえてもらった

フラットがアレくらい汚かったから車庫の中はいったいどうなっているんだろう・・・と不安いっぱいだった


予感的中。

車庫の中はごみの山!!!

いくつものダンボール

ボロボロの靴

たくさんのペンキ缶

たくさんの大きな板

このごみを片付けるのはお金を払ってSkip(粗大ごみようのコンテナ?)をアレンジしなくちゃいけない・・・とショックに打ちのめされていた私に鍵屋さんが

「もしよかったら、片付けてあげようか?中にはまだ使えそうな資材も結構有りそうだし。」
と、ありがたいお言葉。

翌日、鍵屋さんはお友達とやってきて、車庫の中をきれいにしていってくれた。



そういえば、昔部屋を借りていたとき、退去の際に掃除機かけていたら大家さんにえらく感心されたっけ・・・。
部屋を掃除して出て行ったのは私がはじめてだったらしい


やっぱりイギリス人には「立つ鳥跡を濁さず」なんて言葉はあたまにないのかも・・・。



新居より

新居から初のブログ更新☆

ブロードバンドは住所変更したら15日以内に接続できるようになると言われたのでまた待たされるんだろうなあ・・・と思っていたら以外にも3日で使えるようになっていた。でもまだ接続環境は不安定でぶちぶちきれます。

この国で家を買い、引越しにまつわるストレスはかなりのものだと身にしみました・・・。

何でもかんでもスローなプロセス。

何でもかんでもいい加減。

なんで、この国の人たちはきちんと仕事できないのかしらとあきれるばかり。

近い将来、日本に帰ろうかと本気で考えたくらい。


でもやっぱり自分の住処ができたというのは嬉しい。
朝30分早く起きて仕事に行かなくてはいけないけど・・・。

まだまだいろいろ問題はあるけど、ぼちぼちやっつけていくことにします。
忍耐あるのみ!!


ハウスウオーミングパーティーができるまでにはまだまだ時間がかかりそうなので、もう少しお待ちくださいネ☆






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