英国ホスピスコラム


イギリスの病院でマクミラン緩和ケア専門看護師
(Macmillan Palliative Care Clinical Nurse Specialist)として働くナースのブログ

2006年09月

新しいモジュール開始

今日は大学での新しいモジュールの初日だった。
今回のモジュールはThe Death, Dying and Bereavement。
結構ヘビーな内容になりそう・・・。

このモジュールは緩和ケアのDegreeとDiplomaの必須モジュールなので今回の受講者は25人。そのなかにはちらほら顔見知りの生徒も。
嬉しいことに、はじめてのモジュールで一緒だった中国人の友達も発見!
彼女とはクラスの中で2人だけの外国人で、お互いはじめて英語で大学で勉強するという似たような立場だったのでお互い励ましあいながらがんばった仲だった。
彼女も緩和ケアと癌の統合Degreeをやっているので今回このモジュールを取っているそう。
前回の痛みのモジュールではイギリス人ばっかのクラスメイトの中で外国人一人だけなんだか心細かったけど、今回は彼女も一緒だから心強いわ☆

このモジュールはダブルモジュールになっているので、パスすればDegreeのためのクレジットが30もらえる。
そのかわり、アサイメントは5000~6000語書かなければならないけど。締め切りは12月頭。
あと2ヶ月ほどで5・6000語はちょっときついかも。しかも、彼氏が11月末に仕事でニュージーランドへ行くので私もついていくことになっている。飛行機チケットも買ってある。
目標は11月中旬までにアサイメントを仕上げること。
果たしてできるか・・・。

ダブルモジュールのおかげでReading Listもかなりある。
スーパーバイザーにも
「もう締め切りぎりぎりでやっちゃだめよ」と何度も念を押されているし。

やるしかないな、がんばろう~・・・・・。


今回のモジュールからハンドブックは学校のWebsiteから各自ダウンロードするようにとEmailが着ていた。
(今までのモジュールではハンドブックは印刷されて製本されたものが事前に郵送されてきていた)
しかし、そのダウンロード先も明確に書かれていなかったし、あちこち探したけど見つからない・・・。Emailで質問したけど、返事も来ず。
人並みにPCが使える私でも見つけれないんだったら、ほかにも見つけられなかった人もいるだろうから、ま、いっかと今日の講義に出かけていったら・・・。
やっぱりみなさん、ダウンロード先が見つけれなかったようで
クラスメート25人中ハンドブックをダウンロードしてプリントアウトできていた人はわずかに4・5人だった。

大学側としてはモジュールのハンドブックをオンラインで生徒に各自ダウンロードしてもらえば、印刷代もかからないし、事前に生徒に郵送する手間もお金も節約といいこと尽くめなんだろうけど、もうちょっと親切に教えてくれたっていいのに・・・。


今日の授業のなかで先生が
「遺言書を書いてある人、どのくらいいる?」と聞いた。
クラスメイトはほとんどホスピスで働くスタッフナース、病院の癌の治療病棟で働くナース、コミュニティーホスピタルで働くナース、訪問看護師などで年齢層はは20代から50代。

クラスの半分近くの人がすでに遺言書を書いてあるといった。
みんなこういう仕事をしているせいもあるかもしれないけど、予想よりもたくさんの人が書いていると答えたのでちょっと驚いた。

ホスピスの滞在期間

ある日、ある患者さんの家族がちょっと怖い顔をして看護師のオフィスへやってきた。
そして
「うちの母に医師がNursing Home(日本で言う老人ホーム見たいな感じ)へ転院してもらうといわれたそうだけど、いったいどういうことだ!Nursing Homeなんかに転院させられたら、癌のせいでただでさえ短い余命が余計短くなるだろう。ホスピスは癌の患者を面倒看るところじゃないのか!?なんで母を追い出すようなことをするんだ!母は癌なんだから最期までこのホスピスにいるべきだ!」
と言われた。

たしかにホスピスで行われている緩和ケアはWHO(世界保健機関)の定義にもあるように、癌やエイズなどの疾患を持つ患者さんだけでなく進行性の治癒不可能な疾患(advanced progressive and incurable disease)、生命が脅かされている疾患(life-threatening illness)の患者さんとその家族を対象に、精神的な苦痛、身体的な苦痛、スピリチュアルな苦痛の緩和を図りQuality of Life(生命の質)の向上を図る。

この患者さん、マギー(仮名)は癌で苦痛症状コントロールのために3週間ほど前に入院してきた。しかし、ホスピスに入院後内服薬の変更や理学療法などのリハビリを経て、現在症状はうまくコントロールされている。看護スタッフもマギーがトイレに行くときに手を貸したり、清拭やお風呂の介助をするくらいで後はマギー自身が自分で行うことができていた。

マギーはおそらく予後数ヶ月であろうと診断されていた。もともと一人暮らしだったので一人では家で過ごすのは無理だろうということで、医師がNursing Homeを提案したのだった。

イギリスにある多くのホスピスは長期滞在型ではない。滞在期間2週間前後を目標にしている。
しかし、患者さんの状態や退院先の状況により、融通を利かせているので実際には2週間以上滞在する人もかなりいる。
状態が落ち着いているのでNursing Homeへ転院予定となっていた患者さんがNursing Homeのベットを待っている間に状態が悪くなり、転院キャンセルしそのままホスピスにいるということはちょくちょく起こる。

このマギーのように状態が落ち着き、ホスピスでなくても、ケアが受けれる環境(Nursing Homeや在宅ケアが設定される場合など)にあれば当面はこのままの状態を保てるだろうと判断されると退院ということになる。

マギーの息子さんの言い分も分からなくも無い。
マギーは癌を患っているから緩和ケアの対象である。
イギリスにあるNursing Homeの中にはあまりいいとは言えないようなケアを提供しているところもあると聞く。そういった評判を耳にしていたら「Nursing Homeなんかに転院させられたら、癌のせいでただでさえ短い余命が余計短くなる」と思ってしまったのかもしれない。

でも、癌と診断され、症状が落ち着いていても退院したくないからという患者さんを亡くなるまで入院、となるとベットがいくつあっても足りなくなってしまう可能性もある。
そのために苦痛な症状を抱えたほかの患者さんがベット待ちの間に亡くなってしまうという状況にもなりかねない。

もちろん、Nursing Homeへ転院した後、症状が悪化しホスピスでのケアが必要になればホスピスは受け入れる。

マギーの息子さんと医師、看護師、退院のコーディネーター役をしている作業療法士が話し合い、息子さんには理解をしていただいた。


こういった患者さんの転院を進めていくのは心苦しい気がするけど、ホスピスのベットが必要なほかのたくさんの患者さんのことも考えると仕方の無いことなのかもしれない・・・。


NHS病院で眼科受診

7月末に書いたブログの記事(やっぱり待たせるイギリスの医療)に書いたとおり、眼底にPigments(色素)が見えるということでGPから眼科の専門医に紹介状が送られ、10月のアポイントメントの手紙が来ていた。

ところが今月頭にNHSからまた手紙が来た。

「申し訳ありませんがあなたの10月3日のアポイントメントはキャンセルされました」

と書いてある・・・・。


散々待たせる挙句に、キャンセルってどういうこと?!と怒りを覚えつつ、その手紙を読み続けると


「新しいアポイントメントは9月X日 10時です」

なんと、新しいアポイントメントは10日後だった・・・。

早く専門医に会えることになったのは嬉しいけど、こんな急な、しかもその日は仕事だった。せっかく10月3日は勤務希望出して休みにしておいたのに~。

そしてまた決まり文句なのか、
「患者がアポイントメントをすっぽかすことにより、病院はつきに1000ポンドあまりの(約20万円)損害を受けています。あなたのご協力をお願いします」
みたいなことが書いてある。

こんなに突然アポイントメント変えられて、都合のつかなくなる人だっているだろうに。だから余計にアポイントメントのすっぽかしが増えてるんじゃないの・・・と思ってしまう。


勤務を変えてもらって、眼科の専門医の診察受けてきた。
結果は、問題なし。Pigments(色素)はたしかにあるものの、悪性のものではなさそうと。
まあ、一安心でした。

Short trip to Geneva

昨日まで2泊3日でスイスのジュネーブに行ってきた。
旅行というよりも、彼氏の子供時代からの親友に会うのが目的で、急に行くことを決めたので滞在時間はすごく短かったけど。

スイスはずっと前から行きたかった国で、実は3年前に飛行機も予約していたのだけど、事情があってキャンセルしたことがあった。
だからガイドブックも持ってるし、行くことが決まったときはすごく嬉しかった☆

Early Shiftで休憩なしで働いて(チョコレートを買ってくると約束して)その分早く終わらせてもらって、車を運転してロンドンのガドウィック空港へ。
あいにく高速道路(M25)で事故があったために空港まで1時間半のところが3時間もかかり、ぎりぎりでチェックイン。

ロンドンのガドウィック空港からは格安航空会社Easy Jetでジュネーブへ。
Easy Jetは料金は安いし、短時間のフライトなのでサービスには文句は言えない。
イギリスからこういった格安航空会社のフライトでヨーロッパにお手ごろなお値段で気軽に行けるのが嬉しい。

この日は夜遅くにジュネーブに着いたのでホテルについてすぐに就寝。

次の日は彼の親友の仕事が終わるまで2人でジュネーブを散歩。
イギリス公園にある乗り場からレマン湖のボートクルーズへ。

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ジュネーブで人気の観光スポットの大噴水。水柱は140メートル近くにもなるとか

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そばによると結構水しぶきがかかる。

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湖畔にある家々。こんな家に住んで湖を眺めながら暮らす生活はステキだろうな・・・。

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このショートクルーズの後はショッピング。
ジュネーブは結構高級ブティックが並んでいたけど、私はあまりブランド物には興味ないのでほとんどウインドウショッピング。

見逃せなかったのはおいしそうなチョコレートのお店。
結構買い込んでしまった・・・。
一気に食べないようにしなければ。


夕方少しだけ雨が降ったけど、すぐにやんで空を見たら虹が!

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夜は彼の親友とその姪御さん、姪御さんの彼氏みんなでレマン湖の近くの中華料理のレストランへ。
おいしいご飯とワインに満足。
しかし、けして飲みすぎたわけでもないのに帰りにめまいを起し座り込んでしまった私。
疲れかな・・・?歳かな・・・?すぐ復活したけど。

3日目は昼までのんびりして昨日のメンバーでジュネーブ市内で買い物兼観光。
夕方のフライトでイギリスに帰ってきた。

あっという間の滞在だったのでジュネーブの一部しか見れなかったけれど、今度行くときはもっと田舎のほうをゆっくりと周りたいな。

それと、スイスといえばチーズフォンデュ!と思い込んでいた私なのに、スイス料理を食べ損ねた・・・。
今度はぜったい、いろんなスイス料理食べる!

奇跡は起せないけれど・・・。

ときどき、この仕事をしているとどうにもならない運命を恨めしく思ってしまうことがある。

ある日、患者さんが歌を歌っていた。
よく聞いてみると、クリスマスの時期によく耳にするキャロルだった。
「自分はクリスマスまでは多分生きていないからね。だから今歌っておこうと思って。」といっていた。


幼い子供を持つ患者さんがいる。
全身状態の悪化から意識も朦朧として眠りについている患者さんの枕元で
「マミー、マミー、お話してよー」と必死で話しかけている子供。

たくさんの患者さんやその家族がいろいろな思いを抱えながら最期を迎える。

その運命を受け入れているかのように振舞う人

それでも奇跡が起こるのではと望みを抱いている人

そんな患者さんを看ていると、非医学的だけど、本気で奇跡を起してあげたいと思うことがある。
だけど私にはそんな力は無いのだと、思い知らされる。

でも、患者さんや家族の方の苦痛の緩和、そして安らかな時間が過ごせてもらえるようにホスピスのスタッフの一員としてサポートするのが私の役目だと思う。
その役目を果たせるように毎日がんばるしかないのだと思う。

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