英国ホスピスコラム


イギリスの病院でマクミラン緩和ケア専門看護師
(Macmillan Palliative Care Clinical Nurse Specialist)として働くナースのブログ

2006年07月

海外で暮らす

今日はEarly Shift(7時45分から15時45分まで)だったので朝起きて、眠いのを我慢しつつ、朝ごはんを食べながらメールチェックをしていた。

そしたらなんと、「お姉ちゃんが病気です」という題名の親からのメールが・・・。
私の姉がひどい痛みと熱で市民病院に急患でかかったのこと。
詳しく検査をする結果をまた知らせると書いてあった。

すぐに日本の実家に電話したけど、誰も出ない。留守番電話。
母親の携帯に電話するも留守電話。
(母は仕事中か?仕事に行っているくらいだから姉の状態は緊急ではないのか?)などいろいろ考えながら、昼休みに電話しようと思って仕事に行った。

姉はだんなさんと暮らしていて小さい子供が二人いて、したの子はまだ10ヶ月の赤ちゃんで母乳で育てている。
姉が入院なんてことになったらどうなるんだ・・・。などなどいろいろ考え込んでしまう。

こういうとき、海外に住んでいると「心配だからちょっと顔を見に行こう」というわけにはいかない。
イギリスから日本へは飛行機で約15・6時間(私の実家の近くの空港にはイギリスからの直行便が飛んでいないので経由便で帰らなくてはならない)、ここから空港までの時間やチェックインの時間などを踏まえると、約1日かかってしまう。
往復のための時間を考えると何日か仕事を休むことも必要になる。

運良く、私の働いているホスピスは寛大で、以前祖母が癌で調子の悪くなったときに日本に帰りたいといったら3週間の特別休暇をくれた。しかも有給で。
おかげでゆっくり日本に帰って祖母に会うことができた。


昼休みに実家に電話してみると、幸い姉のほうはそれほど重症ではなさそうな感じなので、ひとまず安心した。

でもやっぱり、日本とイギリスの距離を考えると家族に何かあったときすぐに駆けつけられない距離というのはつらいものがあるなあと思う・・・。

そういえば、以前母に「H iが心配するといけないから言わなかったんだけど・・・」と事後報告されたことがある。
それはそれで、やっぱり悲しいものがある・・・。気を使ってくれたのだろうけど。


ホスピスのベットは誰のもの・・・

何度か記事にしてきたけれど、イギリスのホスピスは癌やエイズなどの疾患を持つ患者さんだけでなくWHO(世界保健機関)の定義にもあるように進行性の治癒不可能な疾患(advanced progressive and incurable disease)、生命が脅かされている疾患(life-threatening illness)を対象としている。

ホスピスに数週間前に入院してきたヘレン(仮名)の疾患はMND:Motor Neuron Disease(運動ニューロン疾患、筋萎縮性即索硬化症、進行性球麻痺、原発性即索硬化症などの総称)。
ターミナルケア目的ではなく、症状コントロールをかねたレスパイトケア目的の入院だった。
(レスパイトケアとはいわゆる短期入所のような感じでケアをしている家族のための休養、ホリデーや用事があって患者さんのケアができないときに、ホスピスに1・2週間入院してもらう。)

ヘレンの全身の筋力が低下し、呼吸するための筋力も低下してきたために24時間持続的に酸素吸入も必要になり、食べ物を飲み込むための筋力も低下してきたために、経口摂取も難しくなりPEGと呼ばれる胃ろうから液体の栄養を注入していた。
ヘレンのだんなさんと一日2・3回訪れるケアラーによって家で介護を受けていたが、ヘレンの筋力の低下から介護度が高くなり、家で介護するのが難しくなってきたためホスピスに入院してきたのだった。


ヘレンの状態としては筋力が低下してわずかに指が動きナースコールを押すことができるという程度なので、日常生活すべてにおいて介護が必要。
もちろん、口を拭いたり、鼻をかんだりなんてことも自分ではできない。

そのため、ヘレンのナースコールを押す頻度はかなり高くなる。
「口を拭いて」「顔を拭いて」「掛け物をずらして」「TVを動かして」
「腕の位置を変えて」などなど・・・。

ヘレンは自分ではできないから仕方ないか・・・と思うのだが、掛け物をずらして、というのも1・2センチ動かすだけ、そしてまたナースコールを押してやっぱり元に戻してとか・・・。
「扇風機をつけて」といわれ、スタッフが退席したらすぐに「けして」とナースコール・・・。
ワゴンの音が聞こえたら自分のご飯(ヨーグルトだけは経口摂取していた)はどこか・・・。(1人のスタッフがもうすぐ来るといって退席しても1・2分でまたナースコールを押して同じことを聞いていたり・・・)

毎回スタッフも「ほかは大丈夫?」「ほかに何かして欲しいことはありますか?」と聞いてから退出しているにも関わらず、2・3分おきのナースコールとなってしまうこともたびたびだった。

自分のちからでは何もすることができず、ベットで横になっているだけの生活はどれほどの苦痛だろうか・・・とスタッフみんな我慢強く対応していた。

しかし、あるとき患者さんが転倒したため、スタッフが多数必要なときへレンがナースコールを何度も数分おきに押していた。
あるスタッフが対応し、ヘレンのして欲しいことをした後
「今ほかの患者さんの緊急事態だから、スタッフみんな忙しいの。終わったらすぐに来るからまっててくれませんか」とお願いしたのだが、ヘレンはその後もナースコールを鳴らし続けた。

またあるときはターミナルケアの患者さんが亡くなりそうだ、という場面で家族のサポートも含めスタッフがその患者さんについていたときもへレンはナースコールを数分おきに鳴らし続けていた。
「ごめんなさいね、今ほかの患者さんで状態のとても悪い方がいるのでスタッフが忙しいのです。手が空いたらすぐにくるから待っててもらえませんか」
と説明したが、ヘレンはナースコールを押し続けた。

このような状態になると、スタッフの中でもこの状況では患者さんに平等にケアをする時間が持てないという意見がでてきた。

入院当初の予定では2週間の滞在をめどに、自宅へ戻るかどこかの施設へかわるという予定だったが、すでにヘレンは4週間以上ホスピスに滞在していた。
しかし、ヘレン自身がナーシングホームへ入所を拒否していた。ホスピスでのケアには満足しているという。ヘレンの旦那さんとしては介護のための資金をもっとソーシャルサービスが保証し(ヘレンの症状からすると旦那さんの要求額は無理だと思われる金額だった)、ケアラーを確保してくれなければ、家で看ることはできないという。

そしてへレンの滞在が長引いていることで、ベットが空かないことにより、ほかのターミナルケアや症状コントロール目的の患者さんの入院が滞ってきた。

ヘレンのケースだけに限らず、ターミナルケア目的で入院の患者さん以外は症状がコントロールされれば自宅へ退院またはナーシングホームなどの介護付の施設へ転院となる。

ヘレンにとって、ヘレンの旦那さんにとって、ほかの患者さんたちにとって、何が一番いいのか、見極め、対処しなければならない。
今後のヘレンの方針はどうなるのか・・・。

日勤1週目終了

日勤1週目終わった。Early Shift(7:45-15:45)を3日、 Late Shift(13:30-21:30)を2日やった。
日勤のスタッフはみんなやさしく迎えてくれて
「いろいろ違うことや分からないことがあるだろうけど、そのうち慣れるわよ。徐々に覚えていけばいいから心配しなくてもいいわよ。ドキドキ小
なんていってくれた。

いつもチャージナース(そのシフトの病棟責任者のナース)の元で働いていたので、けっこう気楽に働いていた。

それなのに~・・・・。
今日は3回目のEarly Shiftだったというのに出勤していったら、勤務表が変わったから病棟のチャージをとれる看護師が私しかいないという・・・。
ほかのスタッフは最近働き出した看護師、看護学生、そして補助看護師が2人。
仕方ないので、チャージナース、やりました・・・。

夜勤ではいつもチャージナースやホスピス全体のチャージナースをやっていたとはいえ、日勤でのルーティーンもまだよく分からない私がチャージナースをすることになるとは。

「H iなら大丈夫よ~」と周りのスタッフは言ってくれたものの
(何を根拠にだいじょうぶだといっているのよ~)って感じ。

まずはスタッフに今日の仕事の割り振りから。補助看護師さんたちは経験豊富な人たちだったので、細かく言わなくても仕事を分かっていてくれたから助かった。

ドクターへの申し送りも、何とかクリア。ここのホスピスのドクターは6人いるけど、フルタイムは1人だけであとはパートタイム。運良く今日のドクターは昨日も勤務していて患者さんのことをよく知っていたから昨日の夕方から朝までの状態報告ですんだ。

昨日の夜亡くなった患者さんの書類、各方面への連絡。

ドラックラウンド(配薬)をしようとしても、電話は次々かかってくるわ、ドクターはいろいろ聞いてくるし、ドラックチャート(薬の指示表)をもっていってしまうし、薬の変更の指示を出してくるし、ナースコールはなるし、面会の家族から声をかけられたりとで、集中するのが大変。

夜勤だったら電話はほとんどならないし、ドクターはいないし、ナースコールはなっても補助看護師さんたちが応対してくれるから、ドラックラウンドを中断されることはあまり無かったので。

そして急に患者さんの調子が悪くなったと家族の人からナースコール。
急に喘鳴がでてきて、呼吸が苦しくなったという。
そばにいたドクターに診察をお願いした。すぐに症状に対応するための薬品を処方してもらって投与。
日勤だとドクターが病棟内にいるからすぐに報告してみてもらえるので心強いな~とおもった。

でも夜勤だと、PRN(Pro re nata:必要に応じて)の薬品がいくつか薬の指示表に処方されているものの、投与の判断をするのは看護師。そして電話でドクターとコンタクトはできるものの、ドクターが実際に診察するわけでもないので、プレッシャーというか責任感の重さをとても感じる。

その後もほかの患者さんの状態の悪化もあったりして何度か病棟内にいるドクターを捕まえたり、隣の病棟にいるドクターに電話したりしなくてはいけない場面があって、日勤ってドクターにすぐ相談や報告できるから気持ち的には楽かも?と思った。

そのほか、いろいろこまごまとチャージナースとしてやらなくてはいけなかったことが抜けていたりして、Late Shiftできた看護師さんに指摘されたりしたけど、はっきり言って”そんなんきいてないってば~”という心境だった。

とにかく、なんとか無事に(?)勤務を終えて帰ってきました。
なんか頭いっぱい使ったから疲れた・・・。

なにはともあれ、日勤になっていろいろ新鮮なこともあって面白いなあと思う。ドクターをはじめ、ファミリーサポート看護師、作業療法士、アロマセラピストにも直接会って患者さんのケアの話ができるし。
患者さんが洋服に着替えて椅子に座って自分の好きなことをしているのをみるのもなんだかほほえましい。

慣れるまでにはまだ少し時間がかかりそうだけど、あせらずにやっていこうと思う。

Useful Websites about Palliative care (In English)

私がよく使うWebsiteや情報が得られると思われるWebsiteをまとめてみました。
随時追加していく予定です。
またこれらのほかノも使える、ためになると思われるWebsiteをご存知の方、コメント欄へ書き込んでくださると幸いです。
みんなで一緒に緩和ケアについて勉強していきましょう笑顔

クローバーOrganisation、緩和ケア協会関連

  パソコンInternational Association for Hospice & Palliative Care
  国際的なホスピス・緩和ケア協会のWebsite。

  パソコンCenter to Advance Palliative Care

  パソコンAmerican Academy of Hospice and Palliative Medicine

  パソコンWorld Health Organization
  WHO、世界保健機関のWebsite。Cnacer・Palliative careのセクションはこちら

  パソコンThe National Council for Palliative Care

  パソコンDepartment of Health

  パソコンCancerNursing.org
  オンラインで学ぶ癌看護。

クローバー症状コントロール・治療の情報関連

  パソコンCURRENT LEARNING IN PALLIATIVE CARE

  パソコンSymptomComtrol.info
  医療者向け、症状コントロールに関する情報

  パソコンOncology Channel
  癌など腫瘍の情報と治療についての情報


クローバーsource of evidence

  パソコンBandolier
  evidence-based healthcare
  Palliative and supportive careについてはこちら

  パソコンCochrane
  source of evidence in health care
  up-to-date information about the effects of health care


クローバー薬剤情報

  パソコンPalliativedrugs.com
  医療者向け緩和ケアで使われる薬品情報。要登録。

  パソコンBNF.org
  British National Formulary(日本にある今日の治療薬のイギリス版みたいな本)のWebsite。
  医療者向け薬品情報。要登録。

クローバーClinical Guidline関連

  パソコンNational Institute for    Health and Clinical Excellence
  通称NICEのWebsite
  Clinical Guidlines

  パソコンScottish  Intercollegiate Guidlines Network
  通称SIGNのWebsite
  Clinical Guidlines

  パソコンThe Liverpool Care Pathway for the dying patient (LCP)


クローバー緩和ケア・癌関連のチャリティ団体

  パソコンMacmillan Cancer Relief
  イギリスにあるチャリティ運営、NHSともパートナーシップを結び活動する癌患者とその家族のサポート団体。

  パソコンMarie Curie Cancer Care
  イギリスにあるチャリティ運営の癌(主にターミナル期にある)患者とその家族のサポート団体。

  パソコンCancer Research UK
  イギリスにあるチャリティ運営の癌研究団体。

クローバーその他

  パソコンBmj.com
  general medical journal website
  Palliative Medicineについてはこちら
 
  パソコンNational electric library for health
  Palliative and Supportive Careについてはこちら

  パソコンRoyal College of Nurseing
  Royal College of NurseingのWebsite。
  メンバー(年会費あり)になる必要がある。
  Onlineで12の看護雑誌(Cancer Nursingあり)がOnlineで記事を読むことができる。
  イギリスの看護のデータベース、BRITISH NURSING INDEX (BNI)もつかえる。

  パソコンDIPEx
  患者さんの生の声、体験談を集めたページ
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