英国ホスピスコラム


イギリスの病院でマクミラン緩和ケア専門看護師
(Macmillan Palliative Care Clinical Nurse Specialist)として働くナースのブログ

2006年06月

日勤開始

実は今週から日勤で働き始めた。

ホスピスで働き始めて約2年8ヶ月、私は夜勤専門に働いてきた。(以前働いていたプライベートホスピタルでは日勤スタッフだった)
特別夜勤がやりたかったわけではなく、私がイギリスで働くには雇用者に労働許可証(ワークパーミット)を申請しえもらわなければならないし、当時イギリスの看護師経験も浅く、英語力にも自信が無かったので、夜勤スタッフだと応募してくる人も少ないので仕事をゲットする確率も高いだろうと思ってのことだった。そして夜勤スタッフとして仕事を得てワークパーミットさえとってもらえたら、折を見て日勤に変わらせてもらおうと思っていた。
私の思惑通り(?)夜勤スタッフ募集に応募してきたのは少数で、私を含め3人のインタビューが行われたが、一人は無断欠席。おかげでホスピスでの仕事を得ることができた。

しかし・・・。こんなど田舎にあるホスピスのせいなのか、ここ数年の求人広告にはあまり反応が無く、辞めたスタッフがいても、新しいスタッフがなかなか増えず、新しいスタッフが来ても日勤希望者だったりで「日勤スタッフに代わりたい」という私の願いは長い間保留のままだった。

ところが、数ヶ月前、ホスピスは求人広告を近辺の2つのローカルペーパー(地元新聞)、そして看護協会の求人広告にものせたところ、思わぬ反響があった。緩和ケアの経験のあるスタッフが何人か新しく働き始めることになり、そのうち夜勤を専門にやりたいという人もいるそうな。

そして私に「いつでも日勤へどうぞ。新しいスタッフが仕事を始めたらローテーションで日勤と夜勤をしてもらうから」というお達しがきたけど、ちょうど日本に帰る直前だったので、日本から戻ってきてからにしてもらった。
夜勤の勤務表から私の名前が消え、日勤の勤務表に私の名前が入ると夜勤スタッフから結構引き止められた。

「私たちと働くのが嫌なの?」 「給料が下がるわよ!」「彼氏はどうすんのよ!」 「遊ぶ相手がいなくなるじゃない!」などなど・・・。

夜勤の利点としては・・・
・給料がいいこと。夜勤は基本時給の平日は30%増し、週末は60%増しになる。おそらく年間でX十万円の収入ダウンになるかも・・・。
・休みがいっぱいあること。私は7晩夜勤して7日休みという勤務だったのでほぼ月の半分は休みだった。そのおかげで遠距離の彼氏ともすごす時間が長く持てていた。
・夜勤スタッフのチームワークがいい。何年も同じ仲間で一緒に働いているため、スタッフ間のチームワークは結構いいので働きやすかった。冗談も言って楽しく働けていた。
・私は朝がとても苦手。休みの日でも9時前に起きることは稀。朝早起きしないといけない日勤の早番は苦手。

しかし、不利な点といえば・・・
・夜勤をしている7日間、俗世間から離れた生活をすることになる。
・30越えた身体には7晩連続夜勤はやっぱりしんどい。(・・・というとほかの夜勤スタッフに殴られる(苦笑)みんな私よりはるかに年上なのだ)
・睡眠パターンが崩れてしまう

決して夜勤が楽なわけではないと思う。
私の働いているホスピスはいわゆる独立型のホスピスで病院に併設されているわけではない。近辺の病院へも車で20~30分かかる。
夜間は医師が常在しておらず、ホスピス内には看護師(最低2人)と補助看護師(2-3人)しかいない。
夜間の死亡確認も看護師が行う。そして朝出勤してきた医師が再度確認を行い、死亡診断書を記入することになっている。

また、患者さんには吐き気、痛み、興奮時、不穏時などさまざまな苦痛な症状に対して、必要時に使える薬剤が何種類か処方されており、看護師はそれに従い投与していく。
この投与のタイミングは看護師の判断に任されることになる。

しかし、夜間なにか医師の指示がいる場合は3つの方法で連絡を取ることになる
・脳梗塞、心筋梗塞など緊急時、急変時、蘇生が必要な場合は救急車と救急隊を要請する。
・今までに無かった症状が現れ、患者が苦痛を訴えている場合は地域のNHSの当直サービスへ連絡し、当直医の指示を電話で仰ぐ
・今までにあった症状が悪化、必要時に使える薬剤の上限まできた場合などは緩和ケアコンサルタント:専門医(普段ホスピスで働いていないコンサルタントもいる)へ電話し指示を仰ぐことになる

この電話連絡の判断もときに難しくNHSの当直へかけるか、緩和ケアコンサルタントへかけるかで悩むこともある。
実際、緩和ケアコンサルタントに何度か電話をしたことがあるが、(何でそんなことで電話してきたのか)といわんばかりの態度をとられた夜勤看護師は私も含めけっこういる。

また患者さんの方針も蘇生する、しないは明確にされているものの、”蘇生はしないが病院への転送もありうる”という方針の患者さんもいる。
”蘇生はしないが病院への転送もありうる”という方針の患者さんの多くは癌などの治癒の見込みの無い疾患をもっているが、まだ予後が1・2週間というわけではない。急激な状態変化の場合、といわれる。
急激な状態変化といっても、病院へ転送したからといってすぐに見てもらえるというわけでもない。A&E(救急センター)で待たされてしまうこともある。
なので、病院に転送するのが患者さんにとって有利となるか不利となるか。また当直医師とは電話でのやり取りで現場にいるのは看護師。
こんな私でも私より経験の浅いスタッフと働くと私がホスピス全体のチャージになるので患者さんの緊急時、苦痛時にどう”判断”をするかという面で責任の重さを結構感じる。

夜勤をしていると患者さんの家族にはめったにお目にかかれない。夜勤スタッフが働いている時間帯にいるのは患者さんが亡くなりそうな状態の家族がおおい。はじめてあった家族の人とそのような状況で信頼関係を短時間で築く難しさも感じる。
そして、家族がベットサイドにいないときに患者さんが亡くなってしまったとき。会った事も無い家族の人に患者さんの死を伝える電話をするとき、どう伝えて言ったらいいのか、どうリアクションされるのかと。


あるとき看護雑誌(Nursing Times)でチームワークについて書かれていた。チームワークは看護にとって必要不可欠であり、有効なチームワークは自己、専門性、キャリアを高める上でも大きなサポート、機会を得ることができ有効である、と。
これを読んで私はすっかり夜勤チームになじみ楽しくやっているが、日勤チームで働き、ほかのスタッフやさまざまな職種のスタッフと関わることで、彼らから学ぶことや、いろいろな経験をすることが今の自分には必要だと思ったのだ。

とりあえず、新しいスタッフが仕事を開始するまでまだ時間がありそうなので当分日勤をすることになりそう。まだ2日しかしてないけど、慣れないこともおおくて、なんだか疲れる・・・。

PS。彼氏もはじめは「本気で日勤にかわるつもりか?」といっていたが、私の考えを理解してくれた。とはいえ、これから会う回数は激減する。これって「仕事もプライベートも楽しむ」という私のポリシーに反しているのかしら・・・とやっぱり悩むところ。

空から

延期されていた私の誕生日プレゼントの空のお散歩、先週末にやってきました笑顔 (→My birthday
残念ながら快晴ではなくてちょっと曇り気味の天気だった。

小さな飛行場で(滑走路は芝生だった・・・)4人乗りの小型飛行機に乗り込み。
パイロットのおじさんによると、4人乗せることは稀だそうな。なぜならイギリス人は太りすぎているから4人も乗ったら重過ぎるそうで・・・(笑)

空から見るワイト島(Isle of Wight)はこんな感じ・・・

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ワイト島ってこんなにきれいなところだったのね、と感心。

夢中になって外を眺めていてふと、パイロットのおじさんを見たら、背伸びしてるし、飛行機の操縦桿握ってないじゃないの!困った
なんと、操縦桿を握っていたのはパイロットの隣に座っていた私の彼だった・・・。

約20年前に小型飛行機の訓練を30時間やったという話をパイロットのおじさんに話したらやらせてくれたそうな・・・。いいのか・・・?!
(さすがに離着陸時はパイロットのおじさんがやっていたけど)

ちょっとスリルありの空のお散歩でした・・・。

さよならジョージ。

先日、ホスピスに3年近くレスパイトケアで何度か入院をしていた70歳代の患者さん、ジョージ(仮名)が亡くなった。
ジョージの病気は癌ではなく、MND:Motor Neuron Disease(運動ニューロン疾患、筋萎縮性即索硬化症、進行性球麻痺、原発性即索硬化症などの総称)で治癒の見込みのない全身の筋肉が萎縮していく疾患だった。

以前にもブログに書いたことがあるがイギリスのホスピス・緩和ケア病棟は入院対象を癌の患者さんだけに限らず、WHO(世界保健機関)の定義にもあるように進行性の治癒不可能な疾患(advanced progressive and incurable disease)、生命が脅かされている疾患(life-threatening illness)としている。
たとえば、クロイツフェルトヤコブ病、運動ニューロン疾患、パーキンソン病、アルツハイマー、進行性核上性麻痺、他系統萎縮症など、心不全や慢性呼吸不全の末期状態にある患者さんも受け入れている。

レスパイトケアとはいわゆる短期入所のような感じでケアをしている家族のための休養、ホリデーや用事があって患者さんのケアができないときに、ホスピスに1・2週間入院してもらう。

ジョージは年に3・4回レスパイトケアでホスピスに毎回1・2週間ずつ入院していたので私たちホスピスのスタッフとはすっかり顔なじみになっていた。
手は少し動かすことができていたが、自分で身体を動かすことができないので日常生活にすべての面において介助が必要だった。

約2年前、ジョージはホスピスの庭で結婚式を挙げている。
ジョージには婚約者がいたが、この病気が発症してしまったために一時は結婚をあきらめかけていた。
しかし、婚約者の理解もあり、ファミリーサポートの看護師も間に入り、話し合った結果、二人は結婚を決めた。
車椅子に乗ったジョージと婚約者さんはホスピスの庭で結婚式をあげた。
「おめでとう」いったら照れたような、嬉しそうな表情だった。

(私の働いているホスピスの庭はとても広くて、パーティーや結婚式に一般にも開放している。)

結婚後も奥さんの里帰りや休息のためにレスパイトケアでホスピスに年に何度か1・2週間ほど入所していた。
「レスパイトケアでホスピスに入所するのはいいけど死ぬときは家で」
というのがジョージの希望だった。

ジョージのかかりつけ医(GP)もジョージの希望をよく理解していた。私はたまたまジョージのかかりつけ医の診療所の緩和ケアの必要な患者のカンファレンスに出席したことがあるのだが、高齢の妻との二人暮し、24時間のケアが必要とあって、ジョージの在宅ケアのための費用の工面に苦労していた。
通称「12 weeks letter」と呼ばれる余命が12週間以下である患者のための在宅ケアの費用の確保のための手続きがある。ジョージもこの12 weeks letterをGPが書くことになったのだが、人の余命なんてはっきりとはわからない。実際にはジョージはGPがこの12 weeks letterを書いてから亡くなるまで約1年だったので、なんどか手続き更新をした模様。

しかし・・・
筋力の低下が進み、呼吸にも支障をきたし始めたジョージはレスパイトケアでホスピスに入院した後、家に帰ることはなくホスピスで亡くなった。
ジョージの奥さんも高齢であり、またプライバシーを重視していた二人はケアラーが家に常在するのも断っていたために家で看取るのはいろいろ問題があった。

家で最期を迎えることはできなかったものの、最期は安らかだったとほかのスタッフから聞いた。
ジョージは結構個性的なキャラクターで、憎めないかんじの患者さんだった。スタッフみんなジョージの死を悼むとともに、彼にまつわる思い出を語り合った。

近状報告

ご無沙汰してます、約1ヶ月ぶりの更新になります。
1週間前、日本から帰ってきました。現在、仕事に復帰し夜勤生活中。

今回の帰国では結構たくさんの友達にあえて本当に嬉しかった!
みんなありがとうラブ

おいしいものばかりで食べ過ぎてしまいそうでしたが今回は体重2キロ増でとどめることができました。
(以前、日本帰国したとき7キロ増したことがある・・・落ち込み

ブログを更新しようと思いつつ、なんとなく気が乗らなくて、ようやくこうして書いているところ・・・。
時々、日本から戻った後に数日気持ちが不安定になることがある。
時差ぼけや長旅の疲れもあるのだろうけど。
将来、自分はどうしたいのか。。。と考え込んでしまう。
大学で緩和ケアのDegreeをとるまではこちらにいようと思う。
でも、日本のホスピス・緩和ケア病棟でも少し働いてみたい。
だけど、働く環境としてはイギリスのがいいし・・・。
でもやっぱり日本のほうが生活する上ではいい面も多いし。おいしいものがたくさんだし・・・。
イギリスに住むにしても、親が病気になったらどうする・・・?

などなど、考え出したらきりがないのだけど。

まあ、いつものことながら、数日たてば
(ま、いっか。とりあえずはDegreeとるのが先だし、ここまで税金たくさん払ってるんだからイギリスの永住権ももらわなくちゃね。また、その後考えればいいや)
という気持ちになるんだけど。(笑)


そして前学期やっていた大学のモジュール、無事に単位取れました。
大学の課題は締め切りまえに自分のスーパーバイザーや講師に見せて、アドバイスをもらい、そこからさらに学びを深めていかなくてはならず、この学びの課程も評価に反映される。実は、今回課題提出前にこのモジュールの講師に見せることができなかった。
そしてこのモジュールの講師は英語のグラマーミスに厳しいとほかのクラスメイトから聞いていたので、単位ちゃんと取れるか不安だったんだけど・・・。まずまずの評価でほっと一安心。

これからも仕事と勉強、プライベートも楽しみつつやっていこうと思います笑顔
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