英国ホスピスコラム


イギリスの病院でマクミラン緩和ケア専門看護師
(Macmillan Palliative Care Clinical Nurse Specialist)として働くナースのブログ

2006年05月

一時帰国

今週金曜日、日本に2週間ほど帰ります。

ついこの間帰ったばっかりでは??と思った方。

そう、2月に少しだけ日本に帰っていました。

けっしてホームシックなわけではありません・・・

短期間に2度も帰るなんてお金持ちと思った方。

はっきりいって里帰り貧乏な私・・・

単に2月急に帰る予定ができただけで、本来はこの時期に帰ることを予定していた。

偶然にもお友達のHarryさんと同じ飛行機。長旅に友がいて嬉しいキラキラ

今回は友達に会う予定をたくさん入れているので楽しみ
みんな、たくさん食べて飲もうねラブ

ポリッジの思い出

Tesco(スーパーマーケット)に買い物に行き、朝ごはん用のシリアル売り場でふと、立ち止まった。
電子レンジで作るポリッジ。

ポリッジが大好きな患者さんがいた。
明け方、目が覚め、おなかがすいたその患者さんはいつも
「忙しいところ悪いんだけど、ポリッジ作ってくれないかしら・・・」と頼んできた。
その患者さんは電子レンジで作るポリッジの素をベットサイドに常備していた。

いつも朝の5時過ぎになると、(そろそろポリッジの時間かな?)とその患者さんの部屋をのぞくとたいていもうその患者さんはおきていた。
「ポリッジ作ろうか?」というと嬉しそうに微笑んでくれた。
ポリッジの素と牛乳をボールに入れて電子レンジで数分。そしてかき混ぜるだけ。
そんな簡単なものだけど、作っていくととっても嬉しそうに食べていた。
砂糖ではなく、シロップを大さじいっぱい加えて食べるのが彼女の食べ方。

朝の5時なんて得にやることなくて座っているだけなのに。
病棟キッチンでこのポリッジつくっていた私を見て
「何でこんな時間にポリッジなんか作ってんのよ!」
「(患者さんに)朝まで待つように言えばいいのに!」なんて言ってきたスタッフもいた。
牛乳入れてレンジでチンするだけだから3・4分しかかからないのに。何十分もかかるものではないし。
しかもポリッジは患者さんのベットサイドにあるんだから。
時間があるんだから、このくらいやろうよ・・・と思ってしまった。

そんな彼女を思い出して、今までポリッジなんて・・・と思って一度食べたきり何年も食べていなかったが。無性に食べたくなってしまった。
思わず、買ってしまった。

早速家に帰ってお昼ごはん代わりに食べてみる
(なんだ、意外においしいじゃん!)と思って食べだしたが・・・
シリアルボールにいっぱいのポリッジ。
・・・やっぱりくどかった。む、むねやけが・・・。困った

私も年とってこの国のNursing Homeに入るようなことになったら毎朝ポリッジたべるようになるのかな・・・・。

My Birthday

実は今日、またひとつ、歳をとった

前回が30歳のBig Birthdayだったのでサプライズで旅行へ連れて行ってくれた彼も
「今回はサプライズ無しで。湖水地方に行こうか」
といっていたけど・・・・。

結局彼のうちの改装工事の遅れからいろいろ手続きや買い物があって時間がなくなってしまったので湖水地方はあきらめた悲しい

まあ、30こえたら1つ年取るのも、2つ年取るのも一緒よね・・・と思っていたけど。

先週の日曜日、朝ごはんを食べ、買い物に行くから早く化粧しろとせかされ、車に乗せられ連れて行かれた先は・・・・

地元にある小さな飛行場

「Happy Birthday」と用意されていたのは1時間の小型飛行機での空のお散歩飛行機
(いちおう、ここは田舎でイギリス南部でも有数のリゾート地)

しかし、ここはイギリス・・・・

朝は晴れていたのに天候最悪・・・・雲

結局雲が厚くて飛んでも景色は見えないだろうということでこの日のフライトは断念。

後日延期・・・・。

昨日は地元に住む日本人の友達とディナー。
ビザとワイン、おしゃべりで楽しい時を過ごし。
私はお迎え付だったので気兼ねなくワインを飲めたグラス

今日Emailでは日本の母親からグリーティングカードが来ていた。
うちの母もグリーティングカードのサービスなんて使えるようになったとは
ビックリびっくり

そして友達からのカード、Email、携帯へのTextでたくさんのHappy Birthdayケーキ
みんなありがとうラブ

Euthanasia? suicide? for terminally ill patients :末期患者のための安楽死?自殺?

ご飯を作っていたときにチラッと聞いただけだったので、後で詳しくインターネットで見てみようと思っているうちに、今日になってしまった・・・。

先週、BBCニュースで末期患者のための安楽死、自殺補助の法案について議論されていたが、House of Lords(イギリス議会の上院)により、法案は否決された。
Lords block assisted dying bill (BBC NEWSより)

現在の法律ではイギリス国内では安楽死、自殺補助は違法に当たる。
しかし、イギリスでは治癒の見込みのない疾患の末期状態にある患者さんが死を選択し、合法化されているスイスへ行き、自殺補助を受けて亡くなるケースを何度か聞いた事がある。
しかし、この場合は費用はすべて自己負担となるためにある程度の経済力がないとできない。

こちらの記事では進行性核上性麻痺(Progressive Supranuclear Palsy)という治癒の見込みがない退行性神経疾患におかされた母親をスイスで看取ったという息子さんの話が出ている。
この記事の中で息子さんは「もし母がスイスへ行かなかったら、何年も何ヶ月も病気が彼女を殺すまで死を待つだけの惨めな・不幸な生活を送らなければならなかっただろう」といっている。そして最後に「私たちは彼女のことをとても誇りに思う」と。

ほかにも、雑誌で似たようなケースを読んだことがある。治癒の見込みがない神経疾患の末期の奥さんの死にたいという願いをかなえるため、救急車、飛行機を手配し、Nursing Homeから奥さんを連れ出し、スイスへ送った旦那さんの手記が載っていた。奥さんをスイスに送ったが同行はせず、イギリスの自宅で奥さんが安らかに息を引き取ったというFaxをうけとったという。
この旦那さんによると、後日警察から誘拐と自殺補助の疑いで取調べを受けたという。しかし、スイスには同行しておらず、罪には問われなかったとか・・・。
この旦那さんも奥さんを亡くした悲しみはあるものの、スイスへ送ったことを後悔はしていない、彼女の望む安らかな死を迎えたこと、身体を動かすことができずただ死を待つだけの生活から救うことができたことに安堵していた。

私もホスピスでたくさんの患者さんを看てきた。自殺のためにスイスへ向かった患者さんと同じ疾患をもつ患者さんも何度も受け持ったことがある。
治癒の見込みのない神経疾患の末期の患者さんは思考能力に問題がないが身体はまったく動かせず、全身の筋力が低下していく。

また前回の夜勤で卵巣がんの末期の患者さんに
「私の命を終わらせる注射を打って・・・」と頼まれた。
真夜中、静まり返った病室で、眠れない患者さんはたとえ身体的な苦痛がなくともさまざまな不安、苦しみに押しつぶされそうになっているのではと思うことがある。
「ごめんなさい、そういう注射を投与することは違法なんですよ・・・」というと
「やっぱりそうよね、でももうこの先何もないの。ただ(死を)待つだけでしょう?」と。
ベットサイドで話を聞き、夜も長いし、今はとりあえず眠りたいということで朝まで眠れるようにとMidazolam(ドルミカム)を皮下注射することで同意した。そしてその患者さんは朝まで眠っていたが・・・。

私がもし、治癒の見込みのない疾患の末期だったら。
死を願うかもしれない・・・・。

私は安楽死、自殺補助に反対はしていないし、医療の限界もあると思っている。すべての疾患が治せるわけではない。治せない疾患もある。
治癒不可能な疾患になり、死を待つだけの生活という心理状態になれば、安楽死、自殺について考えるのは人間の心理として自然な流れなのかもしれない。

しかし、このニュースを見て思ったのは”ちょっとまって、ここはイギリス!”

安楽死や自殺補助について議論する前に議員たちに問いたい
イギリスの医療が完璧に行われていると思うのか?!
スムーズに検査・治療が受けられない状況でどれだけの人が苦しんでいるのか
この医療状況のおかげで癌などの疾患の”末期”になってしまったひとがいるのをわかっているのか
緩和ケアは発展しているとはいえ、緩和ケア・ホスピスを運営している団体の多くはNHS(イギリスの国のヘルスサービス)ではなく、チャリティ団体であることをわかっているのか・・・
チャリティ団体は国からの補助は少しは受けているものの、大部分を人々からの善意・寄付に頼っている。チャリティ運営のホスピスはこれらの善意や寄付無しには運営は不可能。

この今の医療状況のイギリスでこのような法案にGoサインがでるのは非常に危険だと思う。

国として対応すべきところ、財政をつぎ込むところはまだまだたくさんあるのではないかと思う。



イギリスで看護:重さ制限? 

緩和ケアには関係ない話だけど・・・・。

私の働くホスピスには看護師とともにAuxiliary Nurse(補助看護師)と呼ばれるスタッフが働いている。Auxiliary Nurseは施設によってSupport worker(サポートワーカー)と呼ばれたり、Carer(ケアラー)と呼ばれることもあるが、NVQと呼ばれるケアの資格を持っている人もいるが、免許を持っていない人もいる。

普段は1・2人のAuxiliary Nurseとともに仕事をするが、テキパキ働き者のAuxiliary Nurseにはあまりめぐり会えない・・・・。

一度に2つ以上の仕事を頼めば(ひとつの仕事が済んだら、次はそれをして・・・みたいにいっても)ムッとしてしまう人。

患者さんが調子が悪くて何度もナースコールを鳴らすのにムッとして患者さんにきつくあたる人。

体の大きな患者さんの移送時に「Oh God!(”大変!”とか”なんてこと!”みたいな意味)」といったり・・・。

新聞読んでてナースコールにすぐ出てくれない人。

でも、こんな人ばっかりではないのだけど・・・・。


ある患者さんはとても体が大きく、体重は100Kgは確実に超えているだろうと思われた。
かなり失禁していたので、寝巻き、シーツを交換しなくてはならなかった。
身体も大きく、状態も悪いので寝返りもうてない。隣の病棟に応援を依頼し、スタッフ4人がかりで寝巻き、シーツ・おむつの交換、身体を拭いた。

その間もあるAuxiliary Nurseは患者さんのケアをしながら
「Oh、God!」「Goodness me!(”やれやれ”とか”まったく!”みたいな意味)」
を連発していたので、ケアが終わってからさりげなく注意した。

すると
「あんな太った人のケア、こっちが腰を痛めるわ!ケアを拒否すべきよ!」
「Health and safetyに反するわ!」
などなど、くってかかってきた・・・・。

「そうね、たしかに大きな人だけど、あのまま(失禁したまま)ほっておくことはできない。それに応援も呼んで4人でケアしたじゃないの」となだめても彼女は引かない。

普段仕事中は冷静沈着を心がけているけど、だんだん頭にきたので
「そうだね、日本にはそこまで太った人はめったにいなかったからね。イギリスには太りすぎの人が多いから、ケアするのは大変よね。拒否するのも分かるわ。私たちの身体も大事だから拒否する権利もあるだろうけど。いったい何人のイギリス人がケアを受けられなくなるのかしらね。」

といったら少しは静かになってくれた。
でもそのAuxiliary Nurseさんをみてふと思った。

そういうあなたも患者になったらケアを拒否されるかもよ・・・・。

仕事で疲れているのか、なんだか今日は辛口な私・・・・。(笑)

注)すべてのスタッフがこんな風ではないので誤解のないようにお願いします。笑顔
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