英国ホスピスコラム


イギリスの病院でマクミラン緩和ケア専門看護師
(Macmillan Palliative Care Clinical Nurse Specialist)として働くナースのブログ

2005年11月

ethical issues in pain management

今大学でやっているモジュールは有効な疼痛管理。
講師は緩和ケアや癌ケアの講師陣が担当しているのだが、生徒は私のように緩和ケアにかかわっている人もいれば、訪問看護師、急性期病棟で働く人、脳神経内科病棟で働く人、Chronic pain clinicで働くナース、などさまざま。年齢も結構上の人が多く、私がおそらく最年少。

昨日の講義でProfessional and ethical issues in pain managementというのがあった。
倫理的な問題を考える、というような内容の講義だった。
講師がある程度話したところでグループに分かれて事例検討。

私のグループに渡された事例はイギリスならではと思ったのでここで少し紹介を。

Mr Cは65歳の定年した元ビルダー。(日本で言う大工さん?かな)2年前から痛みを抱えていて、NHSで人工股関節置換術の手術を待っている。Mr Cが痛みがひどくなって以来、奥さんは献身的に介護しており、ほかの家族も協力的。Mr Cの寝室も1階に移した。しかし、奥さんの介護疲れも目立ち始めた。

Mrs Mは57歳のある会社のマネージャ。Mrs MもずっとNHSで人工股関節置換術の手術を待っている。一人で住んでいて、寝室は2階。家の構造上寝室を一階にすることができない。
ケアラーの派遣を検討したが、Mrs Mが拒否。

この地域のNHSでは3ヵ月後に整形外科の病棟縮小のため、3ヶ月以内に人工股関節置換術の手術の空きは1つしかない。
Mr CかMrs M、どちらをこの手術リストに載せますか?


ご存じない人のために・・・
イギリスの国の医療サービス(NHS)は無料なのだが長期にわたる財政難で、さまざまな問題が生じ、医療を受けるのに“待ち”がある。
手術や検査を受けるのにWaiting Listというものがある。
緊急性のない手術などは何ヶ月も待たされることがある。この人工股関節置換術も例外ではない。

日本ではありえないようなこの状況。そして日本ではこの事例のようなケースは生じないだろ・・・とおもわず苦笑いしてしまった。

激しい?討論が交わされ、いろいろな意見が飛び交った
主な意見はこちら・・・

<Mr Cを先にする派>
・長期にわたり痛みに悩まされている
・妻の疲労が目立ってきている
・家族が協力的だという点から早期退院が望める(つまり術後ベットを早くあけることができる)しかしMrs Mは一人身で家の環境も整っていないことから退院も遅くなる可能性がある。

<Mrs Mを先にする派>
・Mr Cは定年して年齢的に年金生活だと思われるが、Mrs Mはまだ働いており、このまま健康に支障をきたしたままでは経済的にも問題が生じる
・一人身でケアも受けていないため、無理をして反対側の関節も痛める可能性あり。そしてNHSにとっても更なる手術コストがかかることになる

結局どちらも状況は厳しく、手術が必要なことは一緒なので、どちらかを選ぶなど無理な話だ・・・という流れに話し合いがなってきた

そんな時ある生徒さんの意見・・・
「こうなったら、Mr Cをさきにしたほうがいい。そして彼にビルダーに復帰してもらって、Mrs Mの家を改装してもらう。寝室を一階に作ってもらって、お風呂も改造してもらおう!」
う~ん・・・いいアイディア????


音量おしらせ
前回日本に帰ったときデジカメを買ってきたのに、ほとんど使っていないことに気づいた・・・。
そこで、デジカメを使って撮った写真で日々の日記風ブログをはじめました
よろしければ、のぞいてみてください

コチラ→ いぎりす いろいろ。

私と英語

小さいころは英語が話せるようになりたくて仕方なかった。
塾に通わせて欲しいと母にせがんでいたが、なかなか実現しなかった。
塾は必要ないという母の教育方針と、経済的な問題で・・・。
それでも何とか友達のお母さんがやっていた英語塾に通うことが決まったのに、私は病気になり入院したのでそれっきり話は流れてしまった。

そして中学校に進学したとき、2年生までは英語の授業が楽しくて仕方なかった。
これでいろいろな国の人と話せる!と。とても嬉しかった。
先生も長期の留学経験のある人で授業も楽しかった。

しかし、3年生のとき。英語の担当の先生は教科書をただ読み、暗記を強いるタイプの人だった。教科書の例文を読むだけの授業に興味はなくなった。
ここで一気に私の英語熱は冷めてしまった。

そして高校、短大時代。高校から衛生看護科に進学したので、普通科目は時間数が少なかった。英語の授業のレベルもそれほど高くなかったはずだが、一度失ってしまった興味は回復することなく、英語はすっかり苦手科目となり、毎回テストでは赤点すれすれとなった。

19歳で始めて一人旅でロンドンを訪れて以来、イギリスが好きになった。
看護師として働き始めてからも何とか休みを集めてロンドンへ数日間きていた。
でも私の英語のレベルといったら中学校2年生レベルでとまっていたので、いろいろ苦労した。

そんな時近所にイーオンができた。広告がマンションの郵便受けに入っていて、”入会費無料!”の文字にひかれ、面接を受けに行った。
面接をしてくれたのは私と同い年の女性。その後、彼女は私の英語の先生となり、現在は友達になっている。

そして私は看護師の仕事をしつつ、休みの日にイーオンでプライベートレッスンを始めた。
かなり基本のテキストブックからのスタートだった。

それから約1年後、週休をなんとか集めて8日休みを作り、イギリスのウースター(Wocester)という町へ1週間だけの語学留学に出かけた。
ここの語学学校はアットホームな教育方針が売りで、とても高かった・・・。(当時は値段の基準をあまり知らなかったので気にならなかったが)
私と同じレベルの生徒がいなかったために、マンツーマンレッスンとなり、朝9時半から4時までみっちり授業、そして週に2回ナイトアウト、週末の日帰り旅行(アクティビティ担当者がステイ先までお迎えに来た)。
少人数なのですぐに友達もできて楽しかった。
そして、かなり鍛えられ、1週間でも驚くべき成果を挙げた。

2000年3月、仕事をやめたときイギリスでボランティアをしようと思っていたが、斡旋会社の人に「英語力がちょっと足りない・・・」といわれてしまった。
2ヶ月間、またウースターの語学学校にいってみっちり英語を勉強した。
この2ヶ月間、日本人どころか、アジア系の生徒は私だけだった。おかげで完全英語漬け生活となった。
おかげでなんとか日常生活最低レベルくらいは話せるようになったのだが、ボランティアの面接では、緊張しまくり、ほぼお情け状態で通過。(苦笑)

ボランティア開始前に16週間語学学校へ行くようにといわれたが、ボランティア先が先に決まってしまい、クライアントの娘さんが英語の教師だということ、私が看護師であることから英語力は問わないので、そのままボランティアに来て欲しいといわれ、予定を早めて2000年8月に渡英した。

そしてこのボランティア先でクライアントを在宅で看取ることなり、クライアント家族から
「H iならイギリスの看護師になれる」といわれ、
そこからイギリス看護師免許取得に乗り出した。

悔し涙に明け暮れたアダプテーショントレーニング。そして無事免許取得し、就職。
ホスピスへ転職したのが2年前。
気づけば、英語で仕事していても違和感を感じなくなっている。たとえ完璧に話せなくても。

この6年間でたしかに英語力は伸びているが、まだまだ完璧ではない。
変わったと思うことといえば・・・

間違いを恐れずに話す、図太い神経になったことか・・・汗

40~64歳の末期がん患者、すべて介護保険対象へ(日本)

11月12日の読売新聞(YOMIURI ONLINE)のニュースで、2006年4月から40~64歳の末期がん患者、すべて介護保険対象となるという記事が出ていた。

詳しくはこちらを
40~64歳の末期がん患者、すべて介護保険対象(2005年11月12日 読売新聞)

今年の2月に40~64歳の自宅療養中の末期がん患者を介護保険対象とする方向で検討に入ったと報道されたときは、乳がんや子宮がんなどは例外とされ、しかも病名を含めた余命が本人に告知されていること前提としていた。

しかし、今回の報道で評価したいのがこの2つ。

・40~64歳、すべての末期がん患者さんが対象となること
・余命云々ではなく、末期かどうかの判断は、医師が「治癒困難・治癒不可能」と診断した場合。

余命の判定は難しく、まして病名告知はされていても余命告知されていないケースはたくさんあるため、「治癒困難・治癒不可能」と診断された場合というのは妥当だと思う。

でも、私が腑に落ちないこと・・・。

39歳以下の治癒困難・治癒不可能な癌を抱えている人はどうなるのか?
インターネットで検索しても39歳以下で癌闘病中のブログやウエブサイトを持っている人はたくさんいる。そして自宅で、家族で過ごしたいと思っている人がたくさんいる。
そんな人々も介護保険給付対象にはいれてもらえないのだろうか・・・・。

給付対象に年齢制限を設けず、「治癒困難・治癒不可能ながん患者すべて対象」にはできないのだろうか・・・・。

介護保険に関しては私が日本を離れてから始まったもので、私自身も情報不足なので、ケアマネなどしてらっしゃる方々のウエブサイトやブログをのぞいてみた。
この件に関してみなさまから(イギリス在住・日本在住問わず)ご意見を聞かせてもらえると嬉しいです。



そして、将来的に治癒困難・治癒不可能ながん患者さんへの介護保険給付が開始されれば、在宅緩和ケアの提供のニーズが増してくるだろう。

イギリスには一応一人一人にかかりつけ医(GP)を持つことが定められており、在宅医療・ケアもGPや訪問看護師などを中心として行われている。
そして、地域において緩和ケアの質の向上と、均一なレベルの在宅緩和ケアが受けられるようにと、在宅緩和ケアのプログラムThe Gold Standards Frameworkというものがある。

しかし、GPや訪問看護師といえど緩和ケアの専門知識を完璧に持つことは難しい。そのためマクミランナースと呼ばれる緩和ケア専門看護師たちが力を貸し、在宅緩和ケアの実現に大きく貢献している。
(マクミランナースについては過去記事;こちらを参考までに)

国としての医療システムの違いはあるし、イギリスの医療制度がうまく回っていなかったとしても。マクミランナースの存在や在宅緩和ケアプログラムなどは、今後の日本にとって参考になるかなと思う。


追記
「40~64歳の末期がん患者、すべて介護保険対象」について記事を書かれていた方を見つけたのでトラックバックさせていただきました

裏 介護保険 「最後は畳の上で」
TOMORROW IS ANOTHER DAY 「がん患者を囲む環境の変化」

500ポンド当たった☆

500ポンド、日本円にして約10万円。あたりました笑顔
何であたったかというと、Premium Bond。

約2年前友達に教えてもらってはじめたのだけど、これが結構いい感じ。
100ポンドから上限30000ポンドまで預けることができて、利子がかない変わりに毎月抽選がある。

1等はなんと・・・1ミリオンポンド!
しかも毎月2人に当たるようになっている。
そして、10万ポンド、5万ポンド、2万5千ポンド・・・と当選金額があって、一番低い当選金額が50ポンド。

銀行の定期のほうが着実に増える、という人もいるけど私はこのPremium Bondがお気に入り。毎月抽選の楽しみもあるし。外れたらお金は増えないが減りもしない。換金したければ、手続きして10日以内に自分の銀行口座にお金が戻ってくる。

ちなみに、どのくらいの確立で当選するの?とよくきかれるのだけど・・・・。
私の今年の成績は好調で6回当選。(今回以外はすべて50ポンドの当選だった)
私が総額いくらのPremium Bondを持っているかはヒミツだけど、限度額の半分以下です。

私の職場のスタッフの姪御さんは先月1000ポンド当選したそう。
しかし、一度もあたったことがないという話も聞く・・・・。運の問題か?それとも持っているBondの総額にもよるか・・・。

自分は運が強いという方、ぜひトライしてみては?!
興味のある方はこちらをどうぞ
また、Post officeでもパンフレットがもらえます

Good Luckドキドキ小


PS.最近ブログよく更新しててH iらしくないと思われてる方。
(しかも緩和ケア・ホスピスにあまり関係ない話題で・・・)
それは・・・・大学の課題に切羽詰り現実逃避をしているから落ち込み
書き出したらあとは早いんだけど。その書き出しに悩んでしまって・・・・。
今週末は一気に書くぞ!

Magic drink

多くの(すべてではないが)イギリス人にとってMagic drinkといえば紅茶ではないかと思うこのごろ。

夜勤をしているとき、夜中に起きている患者さん。なんだか不安げ・・・。
「どうしました?何か飲み物いりますか?A cup of tea?」と声をかければ
ほぼ7・8割の患者さんが「Yes, Please.」と答える。
紅茶を一口飲んで、「Lovely」というときのほっとしたような表情。
そしてまた眠りにつく患者さん。
朝にスマイルとともに「紅茶とってもおいしかったわ。あの後よく寝れた。ありがとう」といってくれた患者さんは一人や二人ではない。

紅茶にはカフェインが含まれるから、夜中に飲んだら寝れなくなるんじゃ?という疑問は当初あったが、イギリス人にとって紅茶は別物のよう。

そして朝。眠そうな患者さんたちに朝の薬とともに紅茶。
眠そうだった患者さんたちも「Would you like a cup of tea?」といえば笑顔で答えてくれる。

逆に「No」といわれてしまうと(大丈夫か、この患者さん。調子悪いのでは・・・)と心配になる。

患者さんが亡くなって悲しみにくれる家族。お別れがすんだところで、いつも私たちは紅茶をポットでつくって持っていく。紅茶を飲んで一息ついてもらってから死後の手続きや葬儀についての説明を始める。

そしてみんな紅茶の好みがある。
ウサギ「weak, no suger please」(薄め、砂糖なしで)
ニワトリ「strong please」(濃い目で)
カエル「milky and 2 suger please」(ミルクたっぷり、砂糖2杯)
ヒヨコ「drop of milk please」(ミルクちょっぴりで)
猫「only sprinkle suger please」(砂糖は振り掛ける程度で)
などなど・・・。

実は私、患者さん好みの紅茶を作るのが苦手である。
だからいつも、はじめて看る患者さんの紅茶を作るときはミルクと砂糖はすぐにとりにいけるようにしておき、紅茶の色はいいか、甘さは大丈夫か聞いておいて、覚えておくようにしている。

たかが紅茶とあなどるなかれ。
時には精神安定剤以上の効力、癒しの効果を発揮する不思議な力を持っている。

チューリップ番外編として・・・
イギリス人スタッフにしっかり働いてもらうためにも紅茶は重要。
申し送りが終わり、仕事スタート!というときにチャージナースの私が
「まず、紅茶のもうか?」といわなければ大変なことになる・・・・。

そのまますぐ仕事を始めようものなら影で
「紅茶も飲ませてもらえずに働き始めた!」「のどがからからで仕事できないわ」
といわれてしまうし、みんなの仕事のスピードが明らかに落ちる・・・・。
(紅茶はあなた方のペトロ(ガソリン)ですか・・・・とぼやきたくなる私。)

忙しくて、すぐに仕事に移ってもらいたくても、そこはぐっと我慢。100歩譲って
「今日はちょっと忙しいから、クイック・カップ・オブ・ティーして仕事始めようか!」
ということにしている。
(内心はとっとと飲んでさっさと働こうよ!という気分だけど)

たとえ、クイック・カップ・オブ・ティーといえど、飲むか飲まないかでも仕事のスピード、よい人間関係?には欠かせないと時々思う。
もちろん、ナースコールや早急に対処が必要な患者さんたちがいるときはクイック・カップ・オブ・ティーも省くけど・・・・。
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